青江三奈 – 盛り場の女を唄う (1974)

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「盛り場の女たちを唄う」は、青江三奈が1974年にビクターよりリリースした作品。ブルースを中心に、タイトル通り、盛り場の場末感溢れる楽曲が、青江三奈のハスキーヴォイスによって歌われる。正に、酔客接待の日々に疲れた夜の女性が、酒焼けした声に己が情念をぶつけているようである。そこにしっとりと彩を添えるのは芥川隆行のナレーション(MC)。甘く切なく、そしてクサイ台詞を淡々と語るその調子は艶やかで、艶めかしい歌に盛り場の虚しさを唄う枯れた青江三奈の歌唱と好対照である。バックを務めるのはビクター・オーケストラ。

2000年7月2日、59才という若さで膵臓癌により惜しまれつつも亡くなった青江三奈。シャンソンのメッカ「銀巴里」出身というのは少々意外に思うかもしらない。青江三奈は、作詞家の川内康範(かわうちこうはん)に見いだされ、川内康範の小説「恍惚」のヒロインから芸名をもらい、1966年に「恍惚のブルース」でデビューする。同じく川内康範と所縁の深いハスキーヴォイスの森進一と合わせて「ため息路線」と呼ばれた。満25才とデビューが遅かった事もあってか、最初から大人の女性として売り出した事は、青江三奈にとって好材料だったのかもしらない。

本作「盛り場の女たちを唄う」は、これに針を通すだけで、日本各地の盛り場で味わう刹那の享楽とその代償を感じる事が出来る。一夜限りの酌を注ぐ女と、帰る場所を見失った男の、空虚で何も生み出さない、それでいて、この世から無くなる事のない空間が存在する。色欲、物欲、金銭欲。これらを汚らわしい欲望だというのなら、知的好奇心から生み出された思想や科学の顛末は何だったのか。喧嘩は悪で、戦争や粛清は正義なのか。そんな答えの出ない問題を悶々と考えながら、安酒を口に運びながらクダをまく。そんな盛り場の虚しい1シーンが1曲1曲に刻み込まれている。

01 よこはま・たそがれ 山口洋子; 平尾昌晃; 舩木謙一
02 柳ヶ瀬ブルース 宇佐英雄; 宇佐英雄; 舩木謙一
03 星の流れに 清水みのる; 利根一郎; 松本浩
04 札幌ブルース 川内康範; 曽根康明; 寺岡真三
05 伊勢佐木町ブルース 川内康範; 鈴木庸一; 竹村次郎
06 みなと・恋唄 千坊さかえ; 花礼二; 近藤進
07 京都慕情 林春生; The Ventures; 舩木謙一
08 新宿ブルース 滝口暉子; 和田香苗; 舩木謙一
09 盛り場ブルース 藤三郎; 村上千秋; 城美好; 寺岡真三
10 赤坂の夜は更けて 鈴木道明; 鈴木道明; 寺岡真三
11 銀座ブルース 相良武; 鈴木道明; 近藤進
12 池袋の夜 吉川静夫; 渡久地政信; 寺岡真三

青江三奈: 唄
芥川隆行: ナレーション
ビクター・オーケストラ: 伴奏

  • 1974
  • Victor
  • VICL-41187

「青江三奈 – 盛り場の女を唄う (1974)」への2件のフィードバック

  1. こんにちは日向さま 
    高円寺のレコード屋 五十歩百歩の若松と申します。
    前回お越しいただいたときは大量にお買いあげいただきありがとうございました。
    しかも「オモシロいレコード」をセレクトされたセンスには脱帽いたします。
    新宿のザザさんは当店に関係者の方がいたので後日、大変驚き、人生はどうつながっているのかわからないという事をあらためて考えました。
     お近くにお立ち寄りの際はまたのご来店お待ちいたしております。
         五十歩百歩 若松 英樹

    1. 五十歩百歩 若松英樹様

      こんばんは。先日は、音楽の事をたくさん教えて頂き有難うございました。その後、ZAZAさんに伺いました折にお話が伝わっており、音楽の面白さを改めて感じました。購入させて頂いたレコードの中から、寺内タケシとブルー・ジーンズ「津軽じょんがら節」(1966年)を、その後、西麻布「新世界」で開かれた「Salud!!」というイベントでかけさせて頂きました。とても盛り上がりました。また、近日中に伺わせて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します。

      楽しい音楽を聴く♪ 日向 葵 Aoi Hyuga

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