ブラジル-ボサノバ

Stan Getz,Joao Gilberto / Getz/Gilberto

World-Brasil-Bossa Nova : ★★★★★


不朽の名盤。

スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトがアントニオ・カルロス・ジョビン をフューチャーして、1963年にニューヨークで録音された作品。

ジョアン・ジルベルトの「シェガ・ジ・サウダージ(想いあふれて)」が ボサノヴァ誕生を記念するアルバムだとしたら「ゲッツ/ジルベルト」 は、ボサノヴァを世界規模の音楽に仕立て上げた出世作といえると思う。

3年に渡る欧州でのブランクによって散々酷評を受けたスタン・ゲッツ、 ボサノヴァリズムを作り上げたバイーア出身のジョアン・ジルベルト、 多くの作曲もリズムに恵まれなかったアントニオ・カルロス・ジョビン

野合との指摘もあるが、3人の奇才が絡み合ってこの傑作が生まれた。 そして、この背景には当時ヴァーヴだった後のCTIレーベルの社長 兼プロデューサー、クリード・テイラーがプロデュースを担当している ことも付け加えたい。結果、多くの賛同を得てスタン・ゲッツは本作で グラミー賞を受賞し、白人テナーとしてのゆるぎない地位を得た。

また、本作は純粋な音楽とは違った側面からも多くの注目を集めた。 ジョアン・ジルベルトとスタン・ゲッツの音楽性の違いからくる確執や、 本来、ギターとヴォイス程度の素朴な編成からくる音楽にサックスが 執拗に入り込んでくるこの作品は果たしてボサノヴァといえるのか? 等、様々な論議をかもし出した。しかし、その音楽性は極めて豊かで、 いわゆる純粋なボサノヴァの作品の追随をも許さないものがある。

それが顕著に出てくる場面は3者それぞれ特徴的で、スタン・ゲッツの バッキングプレイと、ジョアン・ジルベルトの声とギター、そして、 アントニオ・カルロス・ジョビンのピアノである。いずれも”ささやく” ような演奏に徹していて、決して前に出てこない。しかし、ちゃんと ハマッタポイントに音を入れてくるので非常に目立つ。静かな音にも 明確な主張が見て取れるのだ。

他のメンバーもおもしろい。ミルトン・バナナ(ds)は後に自らのバンド でジャズ・サンバをリードしていく存在になっていった人物であるし、 アストラッド・ジルベルト(vo)はジョアン・ジルベルトの実の奥方(当時) である。アストラッドは全くの素人にも関わらず飛び入りでこの録音に 参加し、リードヴォーカルを務めた。(誤解との噂もある。)そして、 これを機に歌手デビューしボサノヴァの女王と呼ばれるまでになった。

誰を見ても後のボサノヴァ・ムーヴメントに欠かせない重要人物である。 これだけのメンバーが集まった事こそ奇遇にして偶然の一致なのか。 ボサノヴァに限らず、ブラジル音楽を聴く上でこの作品を欠かす事は 出来ない。いや、この作品の与えた影響はジャズを始めとした多くの 国の音楽に色濃く現れており、音楽を聴く方全てが耳にすべき音では ないかと思う。それだけ画期的なのだ。今聴いても実に新鮮である。

1.Girl from Ipanema
 (イパネマの娘)
2.Doralice
 (ドラリセ)
3.Para Machuchar Meu Coracao
 (To Hurt My Heart)
 (プラマシュカ・メウコラソン)
4.Desafinado
 (調子はずれ)
5.Corcovado
 (Quiet Nights of Quiet Stars)
 (コルコバード)
6.So Danco Samba (I Only Dance Samba)
 (ソ・ダンソ・サンバ)
7.O Grande Amor
 (オ・グランジ・アモール)
8.Vivo Sonhando (Dreamer)
 (夢見る人)

Stan Getz : tenor sax
Joao Gilberto : voice ,guitar  Astrud Gilberto : voice
Antonio Carlos Jobim : piano
Tommy Williams : bass  Milton Banana : drums



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posted by 日向 葵 (ひゅうが あおい) at 2005年12月09日 | Comment(8) | TrackBack(2) | ブラジル-ボサノバ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます。
明日以降、「ドリ・ヴィジータ・トム」とジョイスのベストアルバムの記事を書きますので、またこちらからもTBさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
Posted by 煉獄のスナフキン at 2005年12月11日 18:12
●煉獄のスナフキンさん、こんばんは。
「ドリ・ヴィジータ・トム」というのがあるのですか?ドリヴァル・カイミとトム・ジョビンのコラボレーション「カイミ・ヴィジータ・トム」なら持っていますが、息子のドリ・カイミとの共作もあったのでしょうか?興味津々です。ジョイスのベストアルバムと合わせて期待しています!


Posted by ponty (管理人) at 2005年12月11日 18:28
TBどうもです。
ゲッツ/ジルベルトはお気に入りの一枚です。2003年のジョアンのコンサートに行きましたが、想定内(?)のハプニングもたくさんあり、なにより、神様の生の演奏はとても感動でした。
この記事をそのうち書くつもりですので、そのときは、TBしますね。ではでは。
Posted by テトポポ at 2005年12月11日 18:54
●テトポポさん、こんばんは。
想定内w。「遅刻・居眠りはあたりまえ」ですからねw。TBよろしくお願いします。楽しみに待っています。
Posted by ponty (管理人) at 2005年12月11日 21:15
pontyさん、早速のコメントありがとうございました。父親がジョアンを精神病院に連れて行ったとの話は凄いですね。天才は狂気の部分を持つと言いますね。狂気の世界に入り、戻れる人が天才として評価されるんだと思います。多くの人間が狂気の世界から生還できずに、そのまま人生を閉じたことも多いでしょうが、彼は天才そのものだったのでしょうね。
Posted by ウフフマン at 2005年12月11日 22:36
●ウフフマンさん、こんばんは。
どうなんでしょうか。天才だけに凡人には考えの及ばないところがありますwジョアン・ジルベルトは小さい時から一風変わった子だったらしいです。でも、彼にしてみればそれがごく当たり前のことなのかもしりません。ギターを上手く演奏したいのだから、一番いい場所(風呂場)で好きなだけ練習するのは最も合理的である。とも考えられますからね。でも、常人にはまねのできない事だとも思います。
Posted by ponty (管理人) at 2005年12月11日 22:55
続きありがとうございました。お話によると、ジョアンは昔から風変わりな子供だったようですね。今で言う、アスペルガー症候群だったのかもしれないですね。アスペの子供さんの中には、ある才能がとりわけ発達することがあるようです。音楽とかスポーツ関係にも多いとか。長嶋さんなども軽いアスペではないかとも言われていますが。どうなのかな?知能は不思議で、あるところが欠けると、ある才能が豊かになる例があるとか。
Posted by ウフフマン at 2005年12月11日 23:21
●ウフフマンさん、こんばんは。
どうなのでしょうか?それが仮に症状だとしても似たような症状を呈する疾患は他にもいろいろあると思うので断定は出来ないのかもしりませんよ。いずれにしてもジョアン・ジルベルトが変わったキャラクターの持ち主であることには変わりないでしょう。
Posted by ponty (管理人) at 2005年12月14日 06:22
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