ファド(Fado)。それはラテン語のFATUM(運命)が語源となったといわれるポルトガルの音楽で、メリスマに特徴付けられ感情的で情緒的。ポルトガル語圏特有の情感Saudade(サウダーデ)を表現する。Saudadeに関しては他の言語に同意の言葉が存在しないので表現が難しいのだが、「かつて有していたが、今は失ってしまったものを懐かしむ甘く切ない郷愁」と例える事が多いようである。
ファドが確立したのは19世紀といわれている。そのルーツは諸説あって詳しくは分からないのだが、大航海時代以来の海へと旅立つ男性とその別れを惜しむ女性の別離をリスボンファドとコインブラファドの二派に分かれて表現してきたという。(同じポルトガル語圏のブラジルから逆輸入されたとの説もある。)
20世紀に入り、ファドはアマリア・ロドリゲスという大家を得て大いに隆盛をもたらした。しかし、そのあまりの偉大さに後継者が育たなかった。また、カエターノ独裁政権下で国家的歌謡としてファドが奨励されたことも独裁政権崩壊後のファドの低迷に拍車をかけたようだ。21世紀、ポルトガルではEU加盟と共に他のEU国家と同様、自国文化を見直す動きが活発化した。その動きの中で、今ポストアマリア・ロドリゲス世代のファディスタが多くの才能を輝かせている。
<おすすめアーティスト>
●アマリア・ロドリゲス Amalia Rodrigues
●クリスティーナ・ブランコ Cristina Branco
●ドゥルス・ポンテス Dulce Pontes
●カティア・ゲレイロ Katia Guerreiro
●マリア・アナ・ボボン Maria Ana Bobone
●マリーザ Mariza
●ミージア Misia

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