バルバラ、1963年の録音。(1966年にステレオ録音版が発売される。)
基本的にはピアノ伴奏のみのデュオ構成が中心で、
時折ギターやアコーディオンが加わるコンボ編成。
ストリングスを使用した曲もあるが、前面に浮き出てくる
ような事はなく至って小作りな音となっている。
要は、いつものバルバラと思って良いだろう。
この小作りな編成はバルバラの持ち味が最大限に生かされる
理想的な編成といえよう。静かではあるが重みのある語り口で
とうとうと歌うバルバラを聴くと、他のあらゆる事は全くもって
無意味なものとさえ思ってしまう。
妖しいまでの魅力を持ったバルバラの音に、
人は街灯に吸い寄せられる蛾の如く心を奪われてしまうのだ。
バルバラの魅力とはなんだろう。
作詞作曲、歌手と多才ぶりを見せるバルバラだが、よく考えれば
曲は単純だし、特別歌が上手いというわけではない。
バルバラの魅力はそういった目に付きやすいベクトルで
図れるものではないのであろう。
しかし、難しいことではない。誰しもこの音を聴いた時、
涙を流しながら聞き入ってしまうのだから。
テクニックや解釈の難しさに音楽の発展を見出すのは自然の流れである。
どのジャンルの音楽も始めは大衆的で単純且つ享楽的であった。
それがある程度の難解さを有して芸術となっていったのである。
しかし、その一連の流れともまた違う発展の仕方、それをバルバラに
見ることが出来るように思うのだ。
本作ではバルバラの自作曲を中心に歌われているが、その中に時折
ジャック・ブレルやジョルジュ・ブラッサンスの曲も顔を見せる。
バルバラの内省的な人格とそれに基づく歌唱法は彼らの歌を
バルバラらしい曲として昇華させるのに十分である。
どの曲も素晴らしいのだが、1曲目のタイトル曲「Dis Quand Reviendras-Tu?」
から引きずり込まれるような錯覚に陥る。そして2曲目の「Nantes (ナントに雨が降る)」
に続くのである。贅沢なまでの配曲に思わずため息をつかずにはいられない。
そして、一旦引きずり込まれたらもう抜け出す事は出来ない。
とかく暗いといわれがちのバルバラ。
しかし、バルバラの歌には漆黒の世界に射す一筋の光明を感じるのである。
| 1.Dis, Quand Reviendras-Tu? 2.Nantes 3.Chapeau Bas 4.Temps des Lilas 5.Ne Me Quitte Pas 6.Attendez Que Ma Joie Revienne 7.Marche Nuptiales 8.Je Ne Sais Pas |
9.Ce Matin La 10.De Shanghai A Bangkok 11.Flamandes 12.Legende de la Nonne 13.Seul 14.Verger de Lorraine 15.N'Y a Pas d'Amour Heureux 16.Tu Ne Te Souviendras Pas |

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