チック・コリア、1972年ニューヨークA&Rスタジオにおける録音。
フリージャズユニット「サークル」において執拗なまでに原理を求める試みが行われた。
これは芸術や学問という理性を持ってする最も崇高な行いであった。
それは時にあまりにも内省的であり、多くの理解を超越したものでもあった。
そして、「リターン・トゥー・フォーエヴァー」が発表された。
「サークル」における作品と本作を学問に例えるならば「基礎哲学」と「応用哲学」
に相当するかも知らない。純粋なまでに真理を追究する試みである「基礎哲学」は
真理を見極める手法として形而上を想定し、現象からの類推を行ったりする。しかし、
真理は直接目視も言及も出来るものではない。それ故難解を極め浸透し難い点がある。
一方「応用哲学」は抽象的な要素の多い「基礎哲学」とは対称的に、「倫理学」に
代表されるように具体性に富んでいて、その内実は分からなくても少なくとも表面的
には理解し易い。
「サークル」に対し「リターン・トゥー・フォーエヴァー」の楽曲群は非常に耳に
馴染みやすい。当時これをチック・コリアがコマーシャルに転じたと一部で評した
ようだが、それは違うと思う。確かにより基礎的にアプローチする手法はまだまだ
あったと思う。しかし、チック・コリアは敢えて手法を応用的なアプローチに
切り替えたのだと思う。
なんとも爽やかな音ではないか。チック・コリアのエレクトリックピアノ、
ジョー・ファレルのフルート及びサックス、アイアート・モレイラ及び
フローラ・プリム夫妻によるドラムとヴォーカル。執拗なまでに抽象世界に
身を投じていたチック・コリアの姿はここにはない。基礎的理解を踏まえた
形での応用的アプローチは一種の普遍性を有したサウンドとして今も
新鮮な輝きを放っている。これが30年以上も前に録音された作品とは
とても思えない。
| 1.Return to Forever 2.Crystal Silence |
3.What Games Shall We Play Today? 4.Sometime Ago/La Fiesta |
Joe Farrel : flutes,soprano sax
Stan Clarke : elec.bass,double bass
Flora Purim : vocal,percussion
Airto Moreira : drums,percussion

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