タンゴ・ファイブ、1997年8月の録音。五重奏というのはアストル・ピアソラが苦心の末に導き出したモダンタンゴ最良の演奏形態である。バンドネオンとバイオリンのメロディーに、ギター、ピアノ、コントラバスのリズム楽器。モダンタンゴを模索していたアストル・ピアソラは罵声を浴びながらもキンテートによるタンゴを完成させた。
そしてアストル・ピアソラは死に、鬼籍の人となった。残されたタンゴアーティストはアストル・ピアソラ後の音を模索し始めた。アストル・ピアソラと同世代のアーティストは最もその動向を注目され功績を残したが、アントニオ・アグリを始めやがてアストル・ピアソラの後を追って逝ってしまった。
さて、タンゴ・ファイブである。このモダンタンゴ新世代とも呼べるアーティストは偉大なるモダンタンゴの巨匠アストル・ピアソラを信望するファンであり、またジャズやクラシックにも通じた新しいモダンタンゴ創造の主でもある。五重奏という形態をとりながらも、ギターを廃しクラリネットを取り入れるという斬新な構成をとっている。リード楽器を一枚増やし、より個性が激しくぶつかり合うように仕向けられたこの編成。緊張感の高ぶる音を作り上げている。またそれ故にこそ敢えてキンテートと名乗らずにタンゴファイブと名乗っているらしい。
リズム楽器を減らしリード楽器を増やしたことで個性の激しいぶつかり合いは一層強まったが、クラリネットというシングル・リードの楽器は単に主張するばかりではない。音のまろやかさを生かし融和と協調にも大きな役割を果たしている。
このアルバムではラ・クンバルシアータを除いて全てタンゴ・ファイブのオリジナル曲である。五重奏団という形態をとり、新世代的とはいえモダンタンゴを演奏しながらアストル・ピアソラのカヴァーは一曲もない。アストル・ピアソラはタンゴの寵児だった。しかし、タンゴは飛躍の時を迎えている。アストル・ピアソラの壁を乗り越えるべき時が来たのだ。
*英国盤と日本盤ではジャケット写真が違うのでご注意いただきたい。ちなみに掲載写真は日本盤のものである。
| 1.Mi vida contigo 2.Obsecion 3.Desesperacion 4.Tango para Lajuana 5.Mi Tristeza 6.La Cumparsita |
7.Tango Madrugada 8.Te acuerdas 9.Ochiata 10.Resignacion 11.New York Tango |
Raul Jaurena : bandoneon
Karl Albrecht Fischer : piano,viola Veit Hubner : bass
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