![]() Luz Destino |
World-Portugal-Fado : ★★★★★
マリア・アナ・ボボン(ヴォイス),リカルド・ロシャ(ギターラ),ジョアン・パウロ(ハープシコード),マリオ・フランコ(コントラバス)の4人により、1997年ポルトガルのリスボンで録音された作品。ヨハン・セバスチャン・バッハとアーノルド・シェーンベルクをこよなく愛するリカルド・ロシャによるアレンジで、ハープシコードを用いた古典的なバロック様式のアプローチから12階音楽を用いたクラシック現代音楽風のアプローチまでをファドに取り入れたバロック・ファドを展開している。 |
マリア・アナ・ボボンはその透明度の高い歌唱でファドとクラシックの間に架け橋をつなぐ事に成功したアーティストである。今、猥雑とした場末の歌謡だったファドが洗練され、芸術として認められようとしているのだ。
録音当時21才だったマリア・アナ・ボボンとリカルド・ロシャがファドの芸術性獲得の第1歩としてまずクラシックとのクロスオーヴァーを図ったのは単に自分の好みのアーティストだったというだけではないだろう。バッハとシェーンベルクというクラシックでも最も古典的なアーティストと現代的なアーティストの要素を作品に込めることで、ファドの柔軟性が音楽的解釈に対して普遍性を有していることを示したかったのではないだろうか。
実際、本作は一見実験的とも思われるこの試みが、単なる実験に終わらずに見事に調和の取れた完成度の高い作品となっている。これは、バロックでもなく現代音楽でもなくファドなのだ。ファドという音楽スタイルの中にこれらのエッセンスを余すことなく詰め込むキャパシティーを見せてくれた。
マリア・アナ・ボボン。ファド新時代のアーティストとして最も芸術性の高いアーティストの1人といえよう。
Maria Ana Bobone : voice Joao Paulo : harpsichord
Ricardo Rocha : guitarra Mario Franco : contrabass
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