Transparente |
Portugal-Fado : ★★★★★
マリーザ、2005年発表のサードアルバム。前作でアマリア・ロドリゲスの代表曲「暗いはしけ」をカヴァーし、ファド新世代の歌手の中でも名実ともにトップアーティストとなった感があるマリーザ。本作では小作りなものからストリングスを交えた壮大なスケールの曲までドラマティックなファドを展開する。プロデュース及びアレンジはジャキス・モレレンバウム。 |
1999年に他界してからもファド界にあって絶大な人気を誇るアマリア・ロドリゲス。その音楽は、あまりの個性ゆえに後継者が育たないと揶揄された程だった。正にアマリア・ロドリゲス独壇場だったファド。しかし、近年新たな才能が頭角を現してきた。マリーザはそんなアマリア・ロドリゲス後のファド界を代表するアーティストの一人だ。そんなポストアマリア・ロドリゲス世代と表現されてきたマリーザも、前作「Fado Curvo」でアマリア・ロドリゲスの代表曲「暗いはしけ」をトラックして以来更に一皮剥けたような気がする。「Fado Curvo」での「暗いはしけ」はアマリア・ロドリゲスの曲のカヴァーという意味合いは感じられず、新時代のファドを宣誓するようなマリーザの個性に溢れた演奏だった。
本作「Transparente」は2004年のBBCライブ作品「Live in London」をはさみ満を持して発表されたサードアルバム。前作で明確な方向性を打ち出したマリーザが更なる音楽性の発展をもって届けてくれた楽曲たち。その中でも特に注目したいのは「Ha uma musica do Povo」と「Meu Fado Meu」、「Montras」の3曲だと思う。フェルナンド・ペソアによる1曲目「Ha uma musica do Povo」、パウロ・デ・カルヴァーリョによる2曲目「Meu Fado Meu」、ペドロ・カンポスによる5曲目「Montras」。この3曲の美しさは単にファドという音楽ジャンルに捕らわれず幅広い音楽ファンに聴いて頂きたい曲である。いずれの曲もしっとりとしたストリングスの使いようが絶妙で、あくまでファドの基本構成であるカント、ギターラ、ヴィオロンの編成をサポートするといった感じ。その音ははっきりとしていながらも抑えられていて、弱音器のギターやヴィオロンよりもはるかに小さい。このバランスがなんとも言えず素晴らしい。オーケストラの演奏はリオ・デ・ジャネイロ・セッション・オーケストラで、指揮はジャキス・モレレンバウム。
大衆歌謡としての魅力に溢れるファドも捨てがたいが、洗練されて芸術となっていく過程をリアルタイムで知ることが出来る事はとても素晴らしい事である。マリーザの音楽はファドを芸術に仕立て上げるだけのキャパシティーを持っている。これを聴かずに音楽を語れようか。
Mariza : voz Mario Pacheco : Guitarra Portuguesa Antonio Neto : Viola
Joao Lyra : Viola Lula Galvao : Viola Jorge Helder : Baixo
Jaques Morelenbaum : Violoncelo Marcelo Costa : Percussao
Agostinho Silva : Acordeao
Alceu Maia : Cavaquinho Carlos Malta : Flutes Paulo Sergio Santos : Clarinete
Ismael Oliveira : Trompa
Rio de Janeiro Session Orchestra : Cordas Jaques Morelenbaum : dirigldas
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