![]() Essa Mulher |
Brasil-MPB : ★★★★★
エリス・レジーナ1979年の録音で、邦題は「或る女」。後期の最高傑作といって構わないだろう。長く在籍 し数多の名盤を残したフィリップスからワーナーへの移籍後初となる作品。当時の夫セザル・カマルゴ・マ リアーノが奏者兼副プロデューサーとして参加している。タイトル曲の「或る女」がエリス・レジーナによ って取り上げられた事で作者ジョイスがスターダムにのし上がったのは有名な話。
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Elis Regina - Essa Mulher
Marisa Monte / Mais
Roberta Sa / Braseiro
ロベルタ・サー(ホベルタ・サー)、2005年リリースのファーストアルバム。ロベルタ・サーは極めてしなやかで清涼感のある歌声を持っているが、ブラジル北東部生まれだけありMPBアーティストの中でも豊かなリズムセンスを持ち合わせたアーティストといえると思う。それがリオデジャネイロの生活を経て都会的で知的な要素を兼ね備えた。ペドロ・ルイス、パレージ、ネイ・マトグロッソ、MPB4の参加も華やかな彩りを添える。ロベルタ・サーはアルバム作成当時24才。期待の大型新人の登場だ。 【続きを読む】
Giana Viscardi / 4321
ジアナ・ヴィスカルヂ、2005年リリースのセカンドアルバム。若き日のガル・コスタやジョイスに例えられる彼女の歌唱。バークレー音楽院への留学後にブラジルに戻り、作曲活動の後にワールドツアーへ。ツアー中に演奏した曲目からピックアップしてスタジオ録音したのが本作である。 【続きを読む】
Joao Bosco / Grandes Sucessos
Os Novos Baianos / Acabou Chorare
オス・ノヴォス・バイアーノス、1972年の作品。オス・ノヴォス・バイアーノスの作品の中でも最も評価の高い作品で、お得意のブラジリアンヒッピーらしいロックから、サンバやショーロ、ボサノヴァといったリオデジャネイロの音楽、ノルデスチ(北東部)のバイアォンやフレーヴォ等が入ったバライエティーのある作品となっている。 【続きを読む】
Djavan / Luz
Gal Costa / Cantar
ガル・コスタ、1974年発表の通算6作目となるアルバム。 前作「インディア」がジルベルト・ジルによるプロデュースだったのに対し、 本作「カンタール」はカエターノ・ヴェローゾのプロデュースとなっている。【続きを読む】
Tropicalia 2 Caetano e Gil
カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルによる1993年の作品。 「トロピカリア2」というタイトルからも分かるように、本作には前作がある。 それが、1968年発表の問題作「トロピカリア」で、これに対する カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルの回答が「トロピアリア2」である。 【続きを読む】
Joyce with Dori Caymmi / Rio-Bahia
Zelia Duncan / Acesso
得意のブラジリアンテイスト溢れるフォークソングは、 非常にポップで誰でもすんなり入り込んでいけるだろう。 続きを読む
Elis Regina / Luz Das Estrelas
Ivan Lins / Somos Todos Iguais Nesta Noite
俗にEMI時代と呼ばれる70年代後半のイヴァン・リンスは
その音楽において独自のものを完成させた充実した時期
といってよいかと思う。EMIに残した作品は4作品に上るが
どの作品も非常に内容が濃く、これぞイヴァン・リンスと
いわせるだけのものが感じられる個性の強いものとなっている。
イヴァン・リンスはその甘く切ないメロディーを
ブラジル特有の心地良いリズムに乗せて歌い上げる
ピアニスト兼シンガーソングライターである。
本作品でもその完成されたスタンスに基づいて
イヴァンワールドが繰り広げられる。
本作品「今宵楽しく」はイヴァンワールドという意味では
EMI4作品の中でも最右翼の作品といっていいだろう。
1曲目の小気味いいリズムで始まるメドレー
「輪になって踊ろう」から最終曲「いつかきっと」まで、
明るい曲もしっとりしたバラードもあるが、
一貫した甘くとろけそうな、しかしそれでいて単なるポップとは違う
音楽背景を持った世界が提示される。
この作品の後1980年代になって、
イヴァン・リンスはクインシー・ジョーンズや
ジョージ・ベンソン、マンハッタン・トランスファーといった
数多くのアメリカンミュージシャンと共演していくのだが、
それを控えた純粋な意味での彼の音楽性
を見るのには最高の作品であろう。
| 1. quadra de roda (輪になって踊ろう) o passarinho(小鳥の歌) marinheiro(水夫) meu amor nao sabia(愛しい人) agua rolou no.1(苦い涙1) agua rolou no.2(苦い涙2) 2.um fado 3.dinorah dinorah |
4.aparecida 5.velho sermao(悲しい伝説) 6.choro das aguas(水のショーロ) 7.somos todos iguais nesta noite(今宵楽しく) 8.maos de afeto(暖かな手) 9.dona palmeira 10.ituverava 11.Qualquer Dia(いつかきっと) |
Joao Gilberto / Brasil
ブラジルに帰国したジョアン・ジルベルトは二人のアーティストに
内々に連絡をとった。そして出来上がったのがこのアルバムであった。
カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルの二人である。
ポストボサノバブームを引っ張っていったトロピカリスモの主導者
ジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾそれに妹のマリア・ベターニア
も加わったなんとも豪華なメンバーで録音された本作品のテーマは、
既に過去の音楽となっていたアリ・バホーゾやドリヴァル・カイミ
といった有名作曲家の曲を1980年にどう演奏するかということだった。
全ての曲がジョアン・ジルベルト自身によってプロデュースされ
4人の豪華メンバーの持ち味が遺憾なく発揮されている。
メキシコ放浪時代に作成されたアルバムはシンプルな構成で
荒涼とした世界が広がっていた。それはまるでジョアンの寂寞とした
胸のうちを語るような非常にドライなものであったが、
帰国後に作成された本作品は全く違う。オーケストレーションを加え
みずみずしい豊かな音楽世界が繰り広げられる。
以前自分は作成当時はいざ知らず、
ボサノバ以降のブラジル音楽とオーケストレーションは
現代的な観点からは相性が悪いのではないか?と思っていた。
しかし、この新しい見地での回顧的アルバムにおいては
オーケストレーションの素晴らしさがじわじわと感じてくる。
コンボ好きの方にも是非おすすめしたい作品。
| 1.Aquarela do Brasil (ブラジルの水彩画) 2.Desse Alguem (オール・オブ・ミー) 3.Bahia Com H (バイーア・コン・アガ) |
4.No Tabuleiro da Baiana (ノ・タブレイロ・ダ・バイアーナ) 5.Milagre (海の奇蹟) 6.Cordeiro de Nana (ナナンの子羊) |
Gil Goldstein/Romero Lubambo,etc / Infinite Love
ギル・ゴールドスタイン、ホメロ・ルバンボ、トニーニョ・オルタ、
アルマンド・マルサル、マウーシャ・アヂネーといった、
ジャズとMPBのトップアーティストが共演した1993年の作品。
発売後すぐに発売元で在庫切れしてしまい、長らく日の目を見ること
のなかった隠れた名盤です。この度の再販は待ち望んでいたもの。
ジャズメンのブラジリアンミュージックへのアプローチは別に珍しく
もなんともないです。しかし、多くの作品はブラジルっぽいジャズ
あるいはブラジルと勝手に誤認している音に終わってしまっていて、
ブラジル音楽を一度でも聴いたことのある人には物足りなさを感じます。
それに対してこの作品は
ギル・ゴールドスタイン以外は全てのブラジル人アーティストですが、
彼等に対するギル・ゴールドスタインの理解力がすばらしい。
ギル・エバンスの元で異文化を取り込む才能も磨かれたのでしょうか。
ピアノにアコーディオンに気ままに演奏する彼の存在は、本来ソフトなはずの
ジャズのスタンスでブラジルのテイストを上手く吸収した様が窺えます。
また、ブラジリアンアーティストも他が全員リオ・デ・ジャネイロ出身
であるのに対し、トニーニョ・オルタはミナス出身。音楽的にも異なる
ミナスの風が入ることでこのアルバムがより奥深いものになったことは
間違いありません。リズムギターとヴォイスでの参加ですがこのように
ビシっとはまるリズムギターは他ではなかなか聴けないでしょう。
この2人がキーになっていることはおそらく間違いないことでしょうが
基本的に演奏をリードしているのはやはりリオ・デ・ジャネイロ勢です。
ホメロ・ルバンボの澄んだ湖のようなギターソロの美しさ、
アルマンド・マルサルの森のざわめきのようなパーカッション、
マウーシャ・アヂネーのささやくようなやさしいヴォイス。
ボサノバの有名曲を並べるでもなく自由に気ままに演奏される
のびのびとした雰囲気。それこそがブラジルなのではないでしょうか。
| 1.MY FOOLISH HEART 2.LUISA 3.THE PHOENICIANS 4.WHITE AND BLACK 5.VALENTINE’S DAY |
6.CORRENTEZA 7.SEGURA ELE 8.INFINITE LOVE 9.JECA’S BIOAO 10.AMAZON RIVER |
Gil Goldstein : piano ,accordion
Toninho Horta : rythum guitar ,voice
Armando Marcal : percussion
Maucha Adnet : voice
Marcos Valle / Previsao Do Tempo
アメリカで成功を収めたマルコス・ヴァーリが、突如軍事政権下のブラジルに帰国した。
当時ブラジルはボサノバの灯火は既に消えており、
カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル等の
軍事政権に反対するトロピカリスモの渦中にあった。
マルコス・ヴァーリは弁護士の父を継ぐために法科に通う傍ら、
音楽家の道とサーフィンの道と大いに迷う日々であった。
しかし卒業前のある日、「ジョアン・セバスチャン・バー」
への出演をきっかけに音楽家の道へと大きく傾いていく。
同窓のエドゥ・ロボやドリ・カイミとの出会いはこの勢いを加速させ、
ボサノバの潮流の中、一気にトップアーティストの仲間入りを果たした。
やがてブラジルからアメリカへと活躍の舞台を広げても、
エウミール・デオダードとのコンビでマルコス・ヴァーリは、
コンスタントに支持を得続けた。シルヴィア・テレス、
ドリス・モンテイロ、アストラッド・ジルベルト等多くの
人気女性歌手がこぞってヴァーリの曲をカバーしていったのだ。
そして1968年、ブラジルに帰国する。トロピカリスモの
アーティスト達が直接的な表現で主張していく中、マルコス・ヴァーリは
内省的に主張するというアプローチで精力的に活動を続けていった。
本作はボサノバの潮流に乗り、ボサノバ衰退後は
独自のポップな路線を築き上げたマルコス・ヴァーリ
1973年通算10作目のアルバムである。
ジョアン・ドナート、エウミール・デオダードとの共作
「Nao Tem Nada Nao(なんにもないよ)」を始め名曲が揃っている。
マルコス・ヴァーリの作品の中でも人気の高いアルバム。
どうぞお聴きになっていただきたい。
| 1.Flamengo Até Morrer (死ぬまでフラメンゴ) 2.Nem Paleto, Nem Gravata (背広もネクタイもなしに) 3.Tira a Mão (手をどけろ) 4.Mentira (うそ) 5.Previsão Do Tempo (天気予報) 6.Mais Do Que Valsa (ワルツ以上に) |
7.Os Ossos Do Barão (男爵の骨) 8.Não Tem Nada Não (なんにもないよ) 9.Não Tem Nada Não (なんにもないよ) 10.Samba Fatal (運命のサンバ) 11.Tiu-Ba-La-Quiêba 12.De Repente, Moça Flor (唐突な花) |
Gal Costa / O Sorriso Do Gato De Alice
本作はブラジル在住経験を有するアート・リンゼイをプロデュースに
迎え、リオ・デ・ジャネイロとニューヨークの両スタジオで録音された。
カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ジャヴァン、ジョルジ・ベン
という、ブラジルポップス界を代表する4人のソングライターによって
本作品のために作編曲された楽曲の数々。ある時は声高に、また
ある時はしっとりと歌い上げるガル・コスタの歌声。琴線に触れる。
ガル・コスタは作曲をしてない。従って、全て他人の歌なわけだが、
深い解釈の元に歌い上げる楽曲達はまるで自作曲を歌うかのよう。
他人の歌をどうしてここまで深く理解しうるのか不思議でならない。
ここで思い出されるのが、同じくブラジルのエリス・レジーナである。
今は故人であるが、彼女もまた作曲はせず他人の歌を歌ってきた。
しかし、時にオリジナル作品を凌駕するような作品を発表してきた。
ブラジル音楽はもちろん、ジャズを始めとして幅広く音楽に親しんで
、歌手として幅広いレパートリーを有す2人のブラジル人女性歌手。
世代こそ違えども、どこか共通点を感じさせるものがあるように思う。
このアルバムを聴き、一番印象に残ったのは3曲目の「Erratica」。
その前の2曲、特に2曲目にトラックされた「Bumbo da Mangueira」
などは、ジョルジ・ベン(ジョール)らしいファンキーなサンバである。
そこから、驚くほど急激にしっとりとした「Erratica」に入るのである。
後頭部を殴られたような切り替えしに愕然とし、沈黙する他はない。
正にこの部分に、ガル・コスタの曲に対する深い理解が感じられる。
生半可な解釈と歌唱力でこのようなドラスティックなことを試みると、
きっと雑然としていて無味乾燥としたものとなってしまうことだろう。
表現方法が違っていたとはいえ、歌われる曲に内包されたはげしい
個性の表現はガル・コスタとエリス・レジーナに共通していたと思う。
「ガル・コスタにしか歌えない曲がある。」と宮沢和史氏は述べた。
全くもってその通りだと思う。ガル・コスタにしか歌えない曲。それは
もしかしたら誰よりも深く歌を愛する心からくる深い曲の解釈そして
楽曲に刻み込んだ個性。そんなところにヒントがあるかもしらない。
| 1.Bahia, Minha Preta 2.Bumbo da Mangueira 3.Erratica 4.Mãe da Manhã 5.Gratitude 6.Eu Vou Lhe Avisar |
7.Nuvem Negra 8.Lavagem Do Bonfim 9.Serene 10.Voce E Voce 11.Alkahool |
Jorge Ben Jor :violao Gilberto Gil : violao
Djavan : violao Paulinho da Viola : violao
Art Lindsay : guitarra
Marcos Suzano : percussion etc.
Joao Bosco / Caca A Raposa
Marcia Lopes / LP
ブラジリアンミュージックというと、リオ・デ・ジャネイロや
バイーアなど民族的な音作りのイメージが強いかもしらない。
その一方で南米有数の大都市サンパウロではこんな都会的な
メロウかつジャジィーな音が作られていた。
ジャズ心溢れる音作りにも、ブラジリアンの息吹ははっきりと
感じられる。ブラジルの美しいコードワークとリズム感をもって
クリアなヴォイスで歌われるジャズ。そんな形容が似合う作品。
選曲も1920〜1930年代のジャズ・スタンダードナンバー
に始まって、MPBを代表されるアーティスト、シコ・ブアルキ
やカエターノ・ヴェローゾまで幅広い。それが一貫性をもって
一つのアルバムに収められているのだからまたおもしろい。
ストレート・ア・ヘッド ジャズミュージシャンのホベルト・シオン
がアレンジを担当していることも大きな影響があるといえよう。
音楽や舞台での経歴は長いのだが、本作品「LP」をもって
40歳にして初のデビューアルバムを発表することになった
マルシア・ロペス。長いキャリアがもたらした経験からくる
しっとりとしながらも壷を押さえたヴォーカルプレイは、
デビューアルバムとは思えない貫禄を感じさせる。
カエターノ・ヴェローゾをして「最も美しい歌声を持つ1人」
と言わしめたマルシア・ロペス。どうぞご堪能いただきたい。
| 1.minha nossa senhora 2.artigo de luxo 3.imitacao 4.festa imodesta 5.mulher vou dizer quanto eu te amo 6.don’t let me be lonely tonight |
7.everytime we say goodbye 8.sometimes I’m happy 9.undecided 10.abandono 11.resposta ao tempo 12.violao |
Nara Leao / Os Meus Amigos Sao Um Barato
1950年後半のブラジル経済の発展は中流階級の文化を生んだ。
ボサノバもその一つであり、必ずしもブラジル全体の潮流ではなかった。
ナラ・レオンの家は中流階級で裕福であった。習っていたギター
講師ホベルト・メネスカルとカルロス・リラを通して、多くの
後にボサノバを作り上げるアーティスト達ががナラ・レオンの
家を訪れ、ナラの家は若手音楽家の集まるサロンと化した。
しかし、内省的なナラ・レオンは中流階級のみを対象とする
ボサノバの潮流よりも、当時庶民の文化に興味があったようだ。
このボサノバに対するアンチテーゼは後にブラジルの社会的混乱
軍事政権の樹立に伴うナラ・レオンのフランス亡命まで続く。
1960年代後半になりボサノバブームも終焉の時を迎えると、
ブラジルは経済・社会的混乱を来たし、軍事政権の台頭を許す
ことになる。反対派を徹底的に弾圧する当局の対応に対し、
カウンター・カルチャー・ムーブメントとして「トロピカリスモ」
が
カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルを中心に起こる。
トロピカリスモに参加したナラ・レオンは当局への批判を繰り返し
やがてブラジルからの亡命を余儀なくされた。
フランスへと亡命したナラ・レオンは自身の出自と再度向き合い
ボサノバとの和解をし、1971年、全編ボサノバのアルバム
「Dezanos Depois(美しきボサノバのミューズ)」を録音する。
本作品は以上のナラ・レオンのバイオグラフィーの一遍を集約した
作品といえる。それは、サロンにおいて談笑した仲間達と、
そして反体制活動の同士達と。2つの彼女にとって
大きな転換期ともいえる時期を表現した作品だからだ。
| 1.Sarara Miolo 2.Odara 3.Meu Ego 4.Chegando de Mansinho 5.Pepente 6.Nono |
7.Joao e Maria 8.Amazonas 9.Flash Back 10.Cara Bonita 11.Fotografia |
Joao Donato Gilberto Gil
Caetano Veroso Roberto Menescal
Edu Lobo Chico Buarque
Carlos Lyra Sivuca
Antonio Carlos Jobim
Joao Donato / Lugar Comum
1950年代リオ・デ・ジャネイロのクラブで、今から思えば最先端の
演奏を繰り広げるも、周囲に全く受け入れられずアメリカ西海岸へと
ブラジルを後にしたジョアン・ドナート。
その渡米に合わせるかのようにブラジルではボサノバブームが起こる。
同年代のジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンが
ボサノバの申し子として活躍する中、ジョアン・ドナートはアメリカで
モンゴ・サンタマリアを始めとするラテン・ジャズのアーティストとの
活動を経て、現在の斬新なグルーヴ感を持つピアノプレイを確立する。
折りしもボサノバの潮流と全く反対の方向を歩んだジョアン・ドナート
はブラジルでボサノヴァが過去のものとなった1972年帰国する。
帰国後第一作目となったのが、「Quem E Quem (紳士録)」。今まで
インストロメンタルミュージックが中心だった彼の作風からは一転し、
自ら歌にも挑戦した意欲作。この作品以降多くのナンバーに歌詞が
付くようになり、多くのアーティストにカバーされるようになる。
そのきっかけとなったのが、バイーアの音楽家との交流といわれる。
カエターノ・ヴェローゾ、
ジルベルト・ジル、
マリア・ベターニア、ガル・コスタ等と親交を結び、ガル・コスタ1974年の作品「Cantar」
では3曲にピアノで参加し、曲も提供している。
そして1975年、やはりバイーアのジルベルト・ジルの参加の下で
作られたブラジル復帰2作目が本作「Lugar Comum」。ジョアン・ドナートのソロ名義だが、
ジルベルト・ジルは8曲の作詞を担当し、ヴォーカルでも参加している。
エレクトリック・ピアノにフルートやヴォイスが絡み合う。
分かりやすいメロディに気の抜けたようなジョアン・ドナートの声。
永遠に続くかのようなリズムに乗って展開するこのサウンドは、今風
に言うとアコースティック・トランス・サウンドとでもいうのだろうか。
2曲目の「Tudo Tem」のピアノの入りは一度聴いたら病みつきになる。
マルセロ・D2やカルリーニョス・ブラウン、ベベウ・ジルベルトや
マリーザ・モンチ、モレーノ+2やフェルナンダ・アブレウといった
新世代派MPBアーティストが"新しい音"としてジョアン・ドナートに
共演のラブコールを送るのも分からない話ではない。
| 1.Lugar Comum (ルガール・コムン) 2.Tudo Tem (トゥード・テン) 3.A Bruxa da Mentira (嘘の魔女) 4.E Menina (エ・ミニーナ) 5.Bananeira (バナネイラ) 6.Patumbalacundê (パトゥンバラクンデ) |
7.Xangô É de Ba (シャンゴ・エ・ヂ・バエ) 8.Pretty Dolly (プリティ・ドリー) 9.Emori (エモーリオ) 10.Naturalmente (ナトゥラルメンチ) 11.Que Besteira (キ・ベステイラ) 12.Deixei Recado (デイシェイ・ヘカード) |
「ボサノヴァ、サンバ そして ショーロ」
Djavan / A voz e o violao
日本でも人気の高いMPB(ブラジリアンポップス)アーティストのジャヴァン。アルバム「Luz(光)」で、スティービー・ワンダーと共演した「Samrai(侍)」等、楽曲もさることながら話題性も豊富である。
彼の伸びやかな声は、その斬新でユニークな楽曲と相まって彼独特の音楽世界を作り上げる。そんな彼のファーストアルバムが本作である。本作にも収録されている自作曲の「ファト・コンスマード」が歌謡フェスティバルに入賞したのがきっかけとなり製作されたといわれている。
その後の作品と比べてみると、ボサノバチックなアプローチを見せる
曲もあったり、全体的に牧歌的な作風でファースト・アルバムらしい。
とはいえ、ジャヴァンはファースト・アルバムにおいて既に彼の基本的な演奏スタイルを完成させている。その事が感じられる作品でもある。
エレクトリック・ピアノの使用は、ジャヴァンの北東部独特の歌唱法及びギターと上手く絡み、さわやかでマイルドな音を作り上げている。
特に代表作として名高い「フロール・ヂ・リス」は、アルバム1曲目にして一息ついた瞬間にジャヴァン・ワールドにいることに気付かされる。そんな曲である。
このバックを固めるのは、エリス・レジーナのバンドでの活躍が有名なルイザォン・マイア(b)を始めとして、アルタミロ・カヒーリョ(flute)メストリ・マルサル(perc)等。正に鉄壁の演奏陣といえると思う。
ジャケットの百合の色香に誘い込まれるように、誰もがジャヴァンに魅了されることだろう。
*「A voz, o violao, a musica de Djavan」がジャバンのファーストアルバムの正式なタイトルである。この「A voz e o violao」が何物なのかちょっと調べただけでは分からなかった。だが、曲目、曲順、更に演奏者まで本作は「A voz, o violao, a musica de Djavan」と同じようである。そんな経緯で「A voz e o violao」はファーストアルバムをリプレスしたものではないかと思っている。絶盤になって入手が困難な状況の「A voz,o violao,a musica de Djavan」に対し「A voz e o violao」は比較的手軽に手に入れることが出来る。しかしリプレスならばその過程で何故タイトルに変更があったのかよく分からない。ご存知の方がいらっしゃったらご一報お願いしたい。「A voz e o violao」と「A voz, o violao, a musica de Djavan」が同一作品だと仮定してこの場では当座のレビューを書かせて頂いた。
| 1.Flor de Lis 2.Na Boca Do Beco 3.Maca Do Rosto 4.Para-Raio 5.E Que Dues Ajude 6.Quantas Voltas Da Meu Mundo |
7.Maria das Mercedes 8.Muito Obrigado 9.Embola a Bola 10.Fato Consumado 11.Magia 12.Ventos Do Norte |
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Antonio Carlos Jobim & Elis Regina / Elis & Tom
エリス・レジーナとアントニオ・カルロス・ジョビン。 ブラジルを代表する歌姫と、ボサノバの父であり世界的な作曲家。 2つのビッグネームが共演した1974年ロサンゼルスでの録音。 全曲がアントニオ・カルロス・ジョビン作曲の自作自演作品であり、 ボサノバからMPBまでアントニオ・カルロス・ジョビン各時期の 遍歴と音楽的造詣の深さが凝縮された選曲と言っていいと思う。

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