本作品発表時(1998年)の時点で70才を越えたレイ・ブラウン。 「老いて尚盛ん」とは正にこのことで、 長年多くの作品を残してきたコンコルドレーベルを離れ心機一転、 テラークに身を移してからの活動は目を見張るものがある。 【続きを読む】
Ray Brown & Ulf Wakenius / Summertime
Joe Pass / Intercontinental
麻薬の魔手から療養所へ。やがてジョー・パスの苦闘に終止符が
打たれたのは1960年台のことであった。34歳でダウン・ビート誌
の新人ギタリスト賞に輝き、以後、ツイン・ギターカルテットの形式
で活動を続けていった。
「キャッチ・ミー」「ジョイ・スプリング」に続き1964年に録音された
「
フォー・ジャンゴ」はジャンゴ・ラインハルトの追悼アルバムとして
決定的な評価を得た。
1970年代に入ると米国を後に西欧に渡る。パシフィックレコード
からMPSレコードへ地盤を移して渡欧後最初に録音した作品が
初のトリオアルバムとなる本作である。
やがて1973年の「ヴァーチュオーゾ#1」に始まる11作に渡る
ソロギターアルバムを残し、ソロギターの代名詞としてその名を
欲しいままにすることになるジョー・パス。このアルバムはコンボ
としての集大成をなすアルバムと言っても過言ではないだろう。
また、ツインギターカルテットからリズムギターを減らしたことが
後のソロギターへの布石であったと考えてもおかしくないと思う。
ベースのエバーハルト・ウェーバーも、ドラムのケニー・クレアも
ジョー・パスのギターソロワークを静かに支える事に徹している。
このままベースとドラムを消して録音してもギターソロアルバム
として成立しかねないようなギター色の強いアルバム。しかし、
ジョー・パスのギター自身がでしゃばるようなものでないことから
非常に穏やかで心地良い音となっている。
| 1.Chloe 2.Meditation (Meditação) 3.I Cover the Waterfront 4.I Love You 5.Stompin' at the Savoy |
6.Watch What Happens 7.Joe's Blues 8.El Gento 9.Ode to Billie Joe 10.Lil' Darlin' |
Eberhard Weber : bass Kenny Clare : drums
Gabor Szabo / Mizrab
ロマ(ジプシー)音楽、インド音楽、そしてジャズ。これらの異質な音楽
に精通している、そしてそれを下地に独自の音楽世界を創造する。
ガボール・ザボの持ち味は他の誰にもまねの出来ない極めて独特な
世界観にある。一見して極めてエスニックな音楽が出来上がるかと
思ったら間違いであって、得もいわれぬような表現から生み出される
グルーヴ感は普遍性を有しているといわざるを得ない。人はこの音に
触れる時、やっと目が覚めたような思いにかられることだろう。
ブルーサム・レーベルに音源を残して以来しばらく音沙汰のなかった
ガボール・ザボがインパルス時代からの盟友であるクリード・テイラー
率いるCTIレーベルに移籍し最初に録音された音源が本作である。
クリード・テイラーの目指すイージーリスニング的なジャズとして正に
うってつけのガボール・ザボ。ジョン・マクラグリン、グラント・グリーン
ジョージ・ベンソンなど大物ギタリストを抱えるCTIレーベルが更なる
鉄壁の布陣をひいた事を意味する。
ガボール・ザボ自身もCTIレーベル移籍によりボブ・ジェイムスという
アレンジ・指揮、さらにはピアノオルガンまでこなす逸材と巡り会い、
その才能を更に飛躍させ、遺憾なく発揮することになる。
1曲目「ミズラブ」、2曲目「サーティーン」がオリジナル曲なのに対し
それ以降全てカバー曲になっている。3曲目の「小さな愛の願い」は
キャロル・キング、「ピアノ協奏曲第2番」はショスタコヴィッチ、そして
「夏のそよ風」はジェイムス・シールズ&ダッシュ・クロフツのもの。
ピアノ、オルガン、アレンジ担当のボブ・ジェームスを始め、ベースは
ロン・カーター、ドラムはビリー・コブハム及び、ジャック・デジョネット。
フルートはヒューバート・ロウズそしてトランペットにマーヴィン・スタン
トロンボーンにウェイン・アンドレなど、鉄壁のCTIミュージシャン陣が
ガボール・ザボをサポートしている。これは聴かなければならない。
| 1.Mizrab ミズラブ 2.Thirteen サーティーン 3.It's Going to Take Some Time 小さな愛の願い |
4.Piano Concerto No.2 ピアノ協奏曲第2番 5.Summer Breeze 夏のそよかぜ |
Bob James : piano/organ/arrenge/conduct
Ron Carter : bass
Billy Cobham : drums Jack Dejohnette : drums
Hubert Laws : flute Wayne Andre : trombone
and etc.
George Benson / In Concert-Carnegie Hall
ジョージ・ベンソン、1975年のカーネギー・ホールにおけるライブ録音。
ジョージ・ベンソンというと、ブラック・コンテンポラリー・ミュージックの
アーティストとの印象が強い方も多いかと思います。
でも元々はバリバリのジャズギタリスト。この作品は後の「マスカレード」
を皮切りに人気をはくし、ブラック・コンテンポラリー・ミュージックの
申し子のようにいわれる以前の1975年の作品。
クリード・テイラーが半ば強引にワーナー・ブラザースからCTIレーベル
へとジョージ・ベンソンを移籍をさせ、ワーナーと長期に渡る訴訟問題にな
った逸話からも分かる通り、根っからのジャズアーティストだったのです。
この作品はそういった音楽的転換の渦中の時期に作られた作品、つまりは
ジャズとブラック・コンテンポラリー・ミュージックの間に結実した作品で、
この1枚を聴けばその背景を含めて多くの疑問が一掃されると思います。
本作の全体的な音作りはジャズとブルースを混ぜた感じのテイストで、
同じCTIレーベルのサックス奏者スタンリー・タレンタインの「シュガー」を思わせる雰囲気。この辺にクリード・テイラーの目指すコンテンポラリー・
ジャズの発想とジョージ・ベンソンの音楽性が共鳴したことが感じられます。
それにしても速い演奏。超絶技巧のジョージ・ベンソンのソロワークに、
ファンキーなカッティング。ソウルフルなスティーブ・ガッドのドラム、
ヒューバート・ロウズのフルートとの絡みも熱く聴き応え満点の音です。
「Gone」「Take Five」「Octane」と、以上のような極めてブルージーで
ファンキーなジャズワールドが繰り広げられます。
しかし、最終曲の「Summertime」においてやがて傾倒していく音楽への片鱗
が垣間見られます。ストリングスをバックに朗々と歌うジョージ・ベンソン。
そして、ギターに合わせてスキャットを繰り返すジョージ・ベンソン。
たった4曲のトラック(キングレコード盤)にも関わらず、これほど色彩に
富んでいて、深い楽曲。そして全体のアルバム構成も素晴らしい作品は稀有。
上記の背景を踏まえた上でも、全く知らなくても、ただただ熱いその演奏に
誰もが酔いしれること間違いないことかと思います。
| 1.Gone (ゴーン) 2.Take Five (テイク・ファイブ) |
3.Octane (オクタン) 4.Summertime (サマータイム2001) |
Hubert Laws : flute Ronnie Foster : keyboards
Wayne Dockery : bass Will Lee : bass
Steve Gadd : drums Marvin Chappell : drums
Andy Newmark : Drums
Ray Armando : percussion Johnny Griggs : percussion
Jim Hall / Concierto
タイトル曲「Concierto」は盲目のギタリストで作曲家でもある
スペインのホアキン・ロドリーゴが腐心の末に完成させた協奏曲、
「ギターとオーケストラのための協奏曲(アランフェス協奏曲)」
(1939年完成)に由来する。
弱音器であるギターをオーケストラの中にどう生かすかに関して
並々ならぬ苦労の末に結実した作品で、クラシック界に留まらず
多くのギタリストが取り組む事を夢見る名曲として有名である。
特に第二楽章はその美しいテーマが度々ピックアップされる為、
「アランフェス協奏曲」の代名詞といえる存在になっている。
ジャズでもマイルス・デイビスが「スケッチ・オブ・スペイン」で
取り上げたのを皮ぎりに多くのアーティストが着手している。
一方、多くの演奏がホアキン・ロドリーゴの協奏曲への意を汲み、
オーケストラを背景とした協奏曲の形で演奏をしているのに対し、
ジム・ホールは本作で敢えてコンボ形式での演奏を試みている。
この斬新な発想に誰しも驚くと思われるのだが、聴いてみれば
非常に理にかなった編曲であるということが直ぐに分かると思う。
協奏曲にこだわり続けたホアキン・ロドリーゴが提示した命題に
ジム・ホールはコンボ形式という対称的な方法論で返答した訳だ。
非常に分かりやすいポップなアレンジではあるが、全体に渡って
漂うブルージーな雰囲気は彼独自の解釈の賜物といえるだろう。
また、最終曲である「Concierto」に至るまでの3曲(アナログ盤
では、A面に3曲、B面に「Concierto」が収められていた。)も
「Concierto」への序章として一貫したコンセプトでアレンジされ
ているのが感じられる。
チェット・ベイカーとポール・デスモンドのくすんだ音でのリード、
スティーブ・ガッドの低反発にチューニングされたドラム、うねる
ようなロン・カーターのベース、マットで沈んだトーンが際立つ
ジム・ホールのギターは、ドン・セベスキーの編曲による最終曲
「Concierto」へと誘われていく。
| 1.You'd be so nice to come home to (ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥー・カム・ホーム・トゥー) 2.Two's Blues (トゥーズ・ブルース) | 3.Answer Is Yes (アンサー・イズ・イエス) 4.Concierto de Aranjuez (アランフェス協奏曲) |
Jim Hall : guitar Roland Hannna : piano
Ron Carter : bass Steve Gadd : drums
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リンク1:アランフェス協奏曲
リンク3:アランフェス協奏曲
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Gabor Szabo / Gypsy'66
インパルスの盟友ゲイリー・マクファーランド(marinba)馴染みの
アーティストを迎え、ガボール・ザボ(g)が残した1965年の録音。
その中には当時まだバークリー音楽院留学中だった渡辺貞夫(fl)も
全面参加しており、日本人としても馴染みの深い作品となっている。
本作は、ビートルズやバート・バカラックといったポップチューンを
前面に押し出しており、バップ全盛期に衝撃的なジャズを展開した。
それはアナログフュージョンの原風景といえるもので、ポップスを
扱っているとはいえ、斬新というべきか独特というべきか、極めて
個性的な解釈による演奏で、今聴き返しても少しも色褪せていない。
ガボール・ザボの淡々と反復し続けるギターリフは、荒野をひたすら
歩き続けるジプシーをイメージするのに十分。1曲目のビートルズ
の「イエスタディ」等、あまりのドライさに違う曲にすら聴こえる。
このような革命的な作品をプレスすることは、大きな賭けでもある。
ガボール・ザボを「水を得た魚」たらしめたのはインパルスの大きな
功績といっても過言ではないと思う。
バップという確立されたジャズの1方向性に視野が狭くなっていた
ジャズアーティスト達の目を見開かせた記念碑的な作品である。
明確に趣味が分かれる作品といえるかも知らない。しかし、時間を
かけて聴いていくうちに段々と耳に馴染んでくる音なので、一聴し
止めてしまうのは非常に勿体無い作品である。
| 1.Yesterday 2.Last One to Beloved 3.Echo of Love 4.Gypsy '66 5.Flea Market | 6.Walk on By 7.If I Fell 8.Gypsy Jam 9.I'm All Smiles |
Barry Galbraith : guitar Sam Brown : guitar
Richard Davis : bass Al Stinson : bass
Sadao Watanabe : flute Grady Tate : drums
Willie Rodriguez : percussion Francisco Pozo : percussion
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