![]() Undercurrent |
Jazz-Piano,Guitar : ★★★★★
ビル・エヴァンスとジム・ホールによるピアノとギターのデュオ作品。1962年4月24日と5月14日の2回に渡るセッションの模様が録音されている。スコット・ラファロの突然の死に対する悲しみ、築きあげてきたインタープレイの更なる発展への模索・苦闘ぶりが滲み出ている。刹那的で儚くも美しい旋律の数々は、その後の更なる悲劇的結末への序章に過ぎない。 |
Bill Evans, Jim Hall - Undercurrent
Gil Goldstein Trio - Time Remembered - Tribute to Bill Evans
![]() Time Remembered Tribute to Bill Evans |
Jazz-Piano : ★★★★★
ギル・ゴールドスタイン、2000年12月7日、ニューヨークのカレントサウンドスタジオでの録音。タイ トル通りトリビュート作で、ビル・エヴァンスゆかりの曲がセレクトされている。一聴してビル・エヴ ァンスへの敬愛に溢れた作品だが、タイトルとジャケット写真に騙されてはいけない。本作はギル・ゴールドスタインの奇才振りが常に見え隠れしている隠れた名盤である。ちなみにサイドメンバーも豪華 で、ベースはジョン・パティトゥッチ、ドラムスはアル・フォスターが務める。
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Don Grusin / Old Friends & Relatives
ドン・グルーシン、1996年発表のピアノソロアルバム。 音楽家族に在ってピアノを弾きつつも兄デイブ・グルーシンとは対照的に 音楽家を目指さなかったドン・グルーシン。 社会学を学んだ後は経済学で学位をとり、 コロラド大学で教鞭を取る日々を送っていた。 【続きを読む】
Chick Corea / Return to Forever
Stefano Bollani / Felando De Amor
イタリアのジャズピアニスト、ステファノ・ボラーニによる2003年ローマ録音の
アントニオ・カルロス・ジョビン曲集。
アントニオ・カルロス・ジョビンといえばボサノバの父といわれるほど
ボサノバ作曲家のイメージが強い人物だが、いわゆるボサノバブーム
(1950〜60年代)の前後に発表した非ボサノバの曲にも名曲が多い。
本作は、ボサノバを含めた様々な時期のアントニオ・カルロス・ジョビン
の作品を取り上げ、ステファノ・ボラーニ流のユーロジャズピアノトリオ作品
に仕上がっている。
【続きを読む】
山本剛トリオ / Misty
Michel Petrucciani / Both Worlds
ミシェル・ペトルチアーニ、1997年米ニューヨークのライトトラックスタジオ における録音。ミシェル・ペトルチアーニ自身10年来暖めてきた スティーブ・ガッド(ds)とのプロジェクトをついに実現した作品でもある。 【続きを読む】
McCoy Tyner Super Group / Prelude and Sonata
Michel Camilo / Michel Camilo
ミシェル・カミロは1954年ドミニカ共和国サントドミンゴの
音楽一家に生まれ、幼少時はアコーディオンをやっていた。
ピアノをはじめたのは16歳。しかしその才能はすぐに開花し、
ドミニカ国立交響楽団で演奏を担当するまでになる。
そして、1979年、音楽の幅を広げるために
ニューヨークに移り住み、それからの活動は
正にジャズとクラシックが混在した形となる。
彼の作曲した「Why not?」がパキート・デ・リヴェラや
マンハッタン・トランスファーにカバーされたり、
ドミニカ響楽団の指揮者を任されたりする。
そうした中で1988年発表されたミシェル・カミロの
メジャーデビューアルバムが本作品である。
自身の名を冠した「ミシェル・カミロ」は発売後即座に大ヒットし、
10週連続でトップ・ジャズ・アルバムのポジションを保った。
一曲目の「Suite Sandrine Part 1」の冒頭から
カリブのラテン情緒あふれる軽快なメロディーとともに、
複雑かつ独特、しかし気持ち良いリズムが披露される。
クリアで繊細なタッチでありながら、
情熱的で魅力的な演奏を繰り広げる。
そこが彼の魅力である。
エネルギッシュな作品であるため
すぐにでもライブを聴きたくなってしまう。
まずは、8曲目「Blue Bossa」と9曲目「Caribe」
からお聴きになってみては?
| 1.Suite Sandrine, Pt. 1 2.Nostalgia 3.Dreamlight 4.Crossroads 5.Sunset (Interlude Suite Sandrine) |
6.Yarey 7.Pra Voce (For Tania Maria) 8.Blue Bossa 9.Caribe |
Dave Weckl : drums Marc Johnson : bass
Joel Rosenblatt : drums Lincoln Goines : bass
Toshiko Akiyoshi / Her Trio Her Quartet
秋吉敏子が名作の誉れ高い「トシコ・トリオ」の翌年
1957年に残した同作と双璧をなす名盤。
トリオ作品とカルテット作品の両方を収めており
それぞれメンバーが全く異なる。
また、トリオも前作の「トシコ・トリオ」の時は
ベースがポール・チェンバースだったのでこれまた異なる。
しかし、いずれも息の合ったプレイが繰り広げられ
メンバーの違いが特に気になることは無い。
むしろそのおかげでプレイの幅が広がったようにすら感じられる。
折角メンバーに触れたので紹介しておくと、
秋吉敏子:ピアノ オスカー・ベティフォード:ベース
ロイ・ヘインズ:ドラムス
カルテット構成 (1・2・4・5・7曲目)
秋吉敏子:ピアノ ブーツ・ムッスリ:アルト・サックス
ワイアット・ルーサー:ベース エド・シグペン:ドラムス
エド・シグペンは前作「トシコ・トリオ」から引き続きの参加である。
キーマンとして挙げられるのはやはりオスカー・ベティフォードだろう。
彼のベースプレイは言うまでも無いが、ボストンを離れて
ニューヨークへ移り住んだ秋吉敏子を支えた一人でもある。
時折息を飲むようなプレイが続くピアノの中に
ふと緩衝的に入ってくるブーツ・ムッスリのサックスもいい。
もしかしたら、秋吉敏子はトリオよりカルテットの方が
バランスがいいのかも知らないと思わせる1枚。
|
1.Kelo 2.Salite to Shorty 3.Pea, Bee and Lee 4.Taking a Chance on Love |
5.All The Things You Are 6.No Moon At All 7.I'll Remember Aprill 8.Thou Swell |
Makoto Ozone The Trio / Reborn
小曽根 真、ジェームス・ジーナス、
クラレンス・ペンの3人で構成される、ザ・トリオ。
現行メンバーになって3作目。
今回は、メンバーの3人がそれぞれスタンダード曲をスタジオに持ち込み、
比較的軽いアレンジを施した上で、即興的に録音したという。
インプロヴィゼーションの要素が多分に含まれていることで
3人の演奏がより一層激しくなりエネルギッシュになる。
とてもスタンダード集とは思えない。
しかしこれこそが小曽根がいうところの「Reborn」なのだという。
あらゆる要素を吸収した上で、消化し、再具現化(re-born)する。
3人のエネルギーによってRebornされたスタンダード。どうぞお聴きになってみてください。
| 1.Reborn 2.Pennies From Heaven 3.A Handful Of Stars 4.Caravan 5.Miyako 6.Laura 7.ドラえもんのうた |
8.Pray 9.Oceano 10.On The Green Dolphin Street 11.Everything Happens To Me 12.It's All Right With Me 13.Reborn (Forever) |
James Genus : bass Clarence Penn : drums
The Drummonds / When You Wish Upon A Star
リニー・ロスネスと夫のビリー・ドラモンド、レイ・ドラモンド三人から
なるピアノトリオ、ドラモンズによる1999年の作品。本作品は、
スタンダード中のスタンダードばかりを並べた作品となっている。
「Over The Rainbow」「When You Wish Upon A Star」
「The Sound Of Silence」等そもそもスクリーンミュージックや
ポップスであって、純粋な意味でジャズスタンダードですらない。
とにかく本作はポップチューンのみ集めて作られているといえる。
スタンダードナンバーを並べて作品を作るのはなかなか難しい。
誰でも知っているので馴染みやすいが飽きられやすい。それに、
何よりもやりつくされていて、新たな解釈を求める余地が少ない。
興行的目的で親しみやすいスタンダードを採用する場合もある。
しかし、そういう場合は全曲をスタンダードにしなくても十分で、
2〜3曲も入れれば十分全体としてまとまったものになるだろう。
そんな事で、このスタンダード集はある種の挑戦と考えてしまう。
曲への新たな解釈と実践としての演奏。それを敢えて鬼門とも
いえるスタンダードナンバーでやってみせようという挑戦である。
リニー・ロスネスはその結果、この作品を我々に提示したのだ。
それは、凝った作りではないが爽やかで新鮮なアレンジを施し、
スインギーで軽やかなピアノプレイにより表現するというものだ。
スタンダードだけに個性の強い曲が多い。その素材を壊さずに、
上手くオリジナリティーを引き出すことに成功していると私は思う。
こんな難しい事をする位なら、オリジナル曲を中心にした作品を
作った方がよっぽど楽なのではないか?と思わずにいられない。
それ位スタンダードナンバーを扱った作品としては秀逸だと思う。
聴き手には、馴染みやすい楽曲を新鮮に聴かせる極上の作品。
ジャズに限らず幅広い音楽ファンにおすすめ出来る作品である。
| 1.Nature Boy (ネイチャー・ボーイ) 2.Autumn in New York (オータム・イン・ニューヨーク) 3.Over the Rainbow (オーヴァー・ザ・レインボー) 4.Alone Together (アローン・トゥゲザー) 5.When You Wish upon a Star (星に願いを) |
6.Danny Boy (ダニー・ボーイ) 7.Lullaby of Birdland (バードランドの子守唄) 8.Sound of Silence (サウンド・オブ・サイレンス) 9.Polka Dots and Moonbeams (ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス) 10.Like Someone in Love (ライク・サムワン・イン・ラヴ) |
Renee Rosnes : piano
Ray Drummond : bass Billy Drummond : drum
Bill Evans / You Must Believe In Spring
ビル・エヴァンスのピアノトリオにより1977年8月、
ハリウッドのキャピトル・スタジオにて録音され、1980年の
ビル・エヴァンスの死後1981年に発表されたアルバム。
メンバーはビル・エヴァンス(p)、エディ・ゴメス(b)、
エリオット・ジグモンド(d)の3人。
ビル・エヴァンス(p)ポール・モチアン(ds)スコット・ラファロ(b)
特にビル・エヴァンスとスコット・ラファロとの掛け合いが
「ビル・エヴァンス生涯最高のバンド」と絶頂期の評価高い
ピアノトリオが、1961年スコット・ラファロの交通事故死
を契機に自然消滅的になくなってしまう。
その後、紆余曲折の後に1966年加入のエディ・ゴメス(b)、
1976年加入のエリオット・ジグモント(d)のトリオ編成で
録音されたのが本作「You Must Believe In Spring」である。
麻薬常習者であったビル・エヴァンス(主にヘロインだったらしい)
がそのプレイに執拗なまでに内省的な側面を見せるようになり
激しいまでに葛藤をむき出しにするようになった時期でもある。
ミシェル・ルグランの名作「You Must Believe In Spring」を
タイトル曲に据え、ジョニー・マンデルの「Suicide is Painless」
(映画「M★A★S★H」のテーマ曲)をエンディングトラック
にした構成の中にオリジナル曲の「B Minor Waltz(For Ellaine)」
「We Will Meet Again(For Harry)」が挿入されている。
「B Minor Waltz(For Ellaine)」のエレインはビル・エヴァンスの
最初の妻。この時期にビル・エヴァンスはエレインと別れることに
なるが、その直後にエレインは地下鉄に身を投げ自殺してしまう。
また、「We Will Meet Again(For Harry)」のハリーは実の兄。
ピアノ教師をしていた彼もまた銃によって自殺してしまう。
激しくもはかないビル・エヴァンスの人生。彼の内省的なピアノ
プレイはそれを反映してかよりペシミスティックになっていく。
悲劇の連鎖はやがて訪れるビル・エヴァンスの薬物中毒死へと
つながっていく。
あらゆるビル・エヴァンスの作品のなかでも最も破滅的な美が
表されている作品ではないかと思う。
| 1.B Minor Waltz (For Ellaine) 2.You Must Believe in Spring 3.Gary's Theme 4.We Will Meet Again (For Harry) 5.Peacocks |
6.Sometime Ago 7.Theme from M★A★S★H (Suicide Is Painless) 8.Without a Song [#]* 9.Freddie Freeloader [#]* 10.All of You [#]* |
Eddie Gomez : bass Eliot Zigmund : drums
リンク1:ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング
リンク2:ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング
リンク3:ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング
リンク4:ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング
Makoto Ozone The Trio / So Many Colors
The Trioとしては6作目、小曽根真のリーダー作としては15作目
となる本作は、ベースに新たにジェイムス・ジーナスを迎えて、
小曽根真(p)、
ジェイムス・ジーナス(b)、クラレンス・ペン(ds)からなるピアノトリオとなった、新生The Trio初のアルバムである。
新しく加入したジェイムス・ジーナスはクラレンス・ペンの親友。
2000年の加入から僅か1年という期間の間にも関わらず、
あっという間にThe Trioに欠かせない存在になるまでに溶け込んだ。
もともと変拍子の連続から来る「イリ」や「キメ」が魅力の一つの
The Trio。小曽根真とクラレンス・ペンの息のあったプレイ故に
ベース担当は人選に苦慮したものと思われる。
しかし、どうだろう。ジェイムス・ジーナスのプレイはまるで数年来
このバンドでプレイしていたかのような堂々たるものである。
小曽根真が7曲、クラレンス・ペンの2曲に加えて、新加入にして
ジェイムス・ジーナスが1曲オリジナル曲を提供している。
この大胆なまでのジェームス・ジーナスの起用は彼のプレイと才能
つまりは音楽的実力が評価されたことは間違いのないところだが、
今回のアルバムのコンセプトとも無関係とはいえないであろう。
自身黄色人種の小曽根真が様々な人種の共存と平和を願ってつけた
タイトルである。本作第1曲目録音後に小曽根夫人がもらした言葉
からとったという。ジェイムス・ジーナスとクラレンス・ペンも
この意向に全面的に賛同して、自然と湧きあがるインスピレーション
の元、アルバムのストーリーが展開していったのだという。
奇しくも全員が有色人種のバンドなわけだが、それを誇りを持って
語る堂々たる作品が完成した。「So Many Colors」
| 1.ビエンヴェニードス・アル・ムンド 2.ジ・アウトバック 3.スリー・ザ・ハード・ウェイ 4.エイジアン・ドリーム 5.カプリース・イン・タウン 6.天地創造 |
7.テラ・ジ・アモール 8.アン・デルニエ・ミラクル 9.ブラザーフッド 10.サムシングス・ハプニング ~素敵な予感 11.ウィー・アー・オール・アローン |
James Genus : bass Clarence Penn : drums
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Michel Camilo / On Fire
ミシェル・カミロ、
1989年のメジャー通算2作目の作品。
ビルボードによって年間トップ3ジャズアルバムに選ばれた。
「ホワイ・ノット?」「サンタン/イン・トリオ」の2作のアルバムを
既にマイナー・レーベルから発表しており、特に「ホワイ・ノット?」
は、パキート・デ・リヴェラやマンハッタン・トランスファーによって
カバーされ、マンハッタン・トランスファーがこれにより1983年
にグラミー賞をとるほどになっていたミシェル・カミロ。
満を持して作成したメジャー・デビューアルバム「ミシェル・カミロ」
は即座に大ヒット。10週連続トップジャズアルバムの座を守った。
そんな中で、翌年発表されたアルバムが「オン・ファイアー」である。
前作と同様に曲によってベーシストとドラマーを使い分けている。
主にアップテンポの曲ではMichael Bowie(b)、Dave Weckl(ds)とのトリオ、
スローテンポの曲ではMarc Johnson(b)、Marvin"Smitty"Smith(ds)
とのトリオによる演奏となっている。Lincoln Goines(b)が代わったり、
Marvin"Smitty"Smith(ds)がトラックされたり多少メンバーに変更が
あるものの、メンバー構成には前作とさほど大きな違いはない模様。
前作ではコンガにゲストとしてモンゴ・サンタマリアが呼ばれたが、
今回のゲストはフラメンコのラウール。5曲目の「Hands & Feet」
でミシェル・カミロのピアノとラウールのフラメンコタップの共演
が繰り広げられる。この辺の遊び心!?も毎作楽しみにさせられる。
そして、やはり一番の聴かせどころは前作の「Caribe」同様最終曲。
アルバムタイトルの「On Fire」は今までの全ての曲を序曲として、
展開されるエネルギー溢れる快作に仕上がっている。
誰にでもおすすめできるラテン・ジャズ・ピアノ・トリオの快作である。
| 1.Island Stomp 2.If You Knew... 3.Uptown Manhattan 4.Friends (Interlude II/Suite Sandrine) 5.Hands and Feet |
6.This Way Out 7.In Love 8.And Sammy Walked In 9.Softly, As in a Morning Sunrise 10.On Fire |
Michael Bowie : bass Dave Weckl : drums
Marc Johnson : bass Marvin"Smitty"Smith : drums
Sammy Figueroa : conga Joel Rosenblatt : drums
RAUL : flamenco feet
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Chick Corea / The Song Of Singing
チック・コリアがマイルス・デイビスバンド在籍中の1970年4月
本作は録音された。やがて7月にマイルス・デイビスバンドを脱退、
10月に伝説的即興音楽バンド「サークル」を結成する直前の事だ。
マイルスバンド脱退にあたり「学べることは学んだ。自分の音楽を
発展させるのは今しかない。」と悟った彼が「サークル」結成前に
残したこの作品。「サークル」においてベースとドラムを務める事
になるデイブ・ホランド(b)とバリー・アルトシュル(ds)とのピアノ・
トリオとなっている。
チック・コリアが自らの音楽を開花させようとした時期の意欲作。
それだけに凄まじいまでのエネルギーを感じることが出来る。
1曲目の「Toy Room」は正にその序章。美しいテーマから始まり、
やがて激しいインプロヴィゼーションの嵐が吹き荒れる。
その後は、即興性の高い一貫した内的世界が繰り広げられる。
「BalladT」「BalladV」のなんとはかなくも美しいこと。
緻密にして繊細。計算されつくしたようでいて、荒々しく緊張感に
満ちたその演奏はひとたび聴くとチック・コリアの内省的な世界に
引きずり込まれ、抜け出せなくなる。
アルバムを通してずっと続く不安への誘いはやがて心地良い安らぎ
に変わっていく。
サックスが加わった「サークル」とは一味違った、チック・コリアの
表現の自由度がより高い形(ピアノ・トリオ)において結実した作品。
誰もが理解できる音など、始めから作ろうとはしていない。
現象からみた実体の理解。彼独自の解釈がここに提示されたのだ。
| 1.Toy Room 2.Ballad I 3.Rhymes |
4.Flesh 5.Ballad III 6.Nefertiti |
Dave Holland : bass ,fiddie Barry Altschul : drums
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Herbie Hancock / Maiden Voyage
1963年から1968年に至るマイルス・デイビスバンドでの活動
において、「ウォーターメロンマン」に代表されるジャズ・ロックの
流れから、モード・ジャズへと傾倒していったハービー・ハンコック。
そのマイルス・デイビスバンド加入2年目に録音された本作は、
正に1960年代、ジャズの主流となっていったモード・ジャズを代表
する作品といえるだろう。
「コード進行からの開放」をテーマにしたモード・ジャズは、奏者の
技量を最大限に生かすことが出来る場である。だが、逆に言うと
その演奏にはそれなりの力量が要求されるわけで、当時の主流の音
といえども、それに携わることの出来る人材はそう多くいなかった。
その事は本作の共演者を見てもらえば、分かっていただけると思う。
共演者はフレディー・ハバード(tp)、ジョージ・コールマン(sax)、
ロン・カーター(b)、アンソニー・ウィリアムス(ds)の4人。
ウェイン・ショーターがマイルスバンドOBのジョージ・コールマン
になった以外、正に当時のマイルス・デイビスバンドといった面々。
メインバンドとほぼ同じメンバー、クインテットという同じ形態で
モード・ジャズが録音されているのである。そういう意味でソロ作品
というよりも、本業を更におしすすめるためのサイドプロジェクトと
捉えた方が本作の正しい理解といえるのかも知らない。
そのモード手法のテーマに挙げられたのが、「処女航海」。
動と静。様々な表情を表す母なる海と、それに向かう真新しい船。
自然の中に文明を象徴する真新しい船が浮かび風景を構築する。
この事は、自然の表す「現象」と人間の理性からくる「論理」の共演
を意味するのではないだろうか。新しい技法であるモード手法を音楽
にもたらした1960年代新主流派の空気が伝わってくるようである。
| 1.Maiden Voyage (処女航海) 2.The Eye Of The Hurricane |
3.Little One 4.Survival Of The Fittest 5.Dolphin Dance |
Herbie Hancock : piano Ron Carter : bass
Anthony Williams : drums
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Makoto Ozone The Trio / The Trio
1996年に結成した小曽根真 The Trio。本作は結成翌年の1月に
発表されたデビューアルバムであるが、The Trio 結成の背景には、ユニークなエピソードが残っている。
1995年、ヴァイブラフォン奏者のゲイリー・バートンのメンバー
としてノルウェイ号の船上ジャズフェスティバルに参加した小曽根は
そこで、ジミー・ヒースのバンドで演奏していた北川潔(b)に出会う。
同じ関西人として共鳴した二人はジャムセッションを通じてすぐさま
お互いの力量を認め合う仲となる。早速北川を加えての新バンド結成
をもちかける小曽根だったが、北川に紹介したいドラマーがいるとの
事で翌年の同船上フェスティバルを待つことになった。
1996年11月2日、
クラレンス・ペン(d)を加えた三人が始めて顔を合わせる。
小曽根真は当日用意してきた新曲中でもとびきりの難曲
「The Beginning」(二人の技術を確かめるつもりだったのだろう)と
ラテン調の曲「Esperanza」(リズム感を見たかったものと思われる)
の2曲を早速このトリオにぶつけてみた。
瞬間、小曽根は悟ったと言う。「これだ!とうとう探していた理想の
ミュージシャンに出会った!そして、北川潔君もクラレンス・ペンも
僕と同じように思ったに違いない!」と。
ノルウェイ号の小曽根真 The Trio の周りは人であふれかえり、床に
座って聴く人まで現れたという。
卓越したテクニックを持つも、テクニックのみに走らない小曽根真の
熱い演奏、ソロにバックに安定感のある北川潔のベース、手数もだが
音の入れる場所が半端じゃない!魅惑のブラシとスティック捌きの、
クラレンス・ペン。この魅力的な3人が偶然の産物で結成したザ・トリオ初のアルバムに、
豪華ゲスト、ジョン・スコフィールド(g)のプレイも加わり、更に熱を
帯びていく。スイング・ジャーナルが選定ゴールド・ディスクを与えた
のは正に当然の事。正しい評価をみて胸のすく思いである。
ちなみに先程挙げた問題の2曲は本作にちゃんと収められている事を最後に付け加えておきたい。
| 1.Beginning 2.Lazy Uncle 3.Fairy Dance 4.Esperanza 5.Home |
6.Tea for Three 7.Stinger 8.My Old Book 9.Happy Cat 10.Boon-Cha-Cha |
北川潔 : bass Clarence Penn : drums
John Scofield : guitar
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Frank Chastenier / For You
ユーロ・ジャズという言葉が適切なのか正確なところは良く分からない。
しかし、このドイツ出身のジャズ・ピアニスト、フランク・カステニアー
は、この作品の前からヨーロッパを代表する隠れた名ピアニストとして知る人ぞ知る存在だった。
いわゆるミュージシャンズミュージシャンである。
ケルンの西ドイツ放送(WDR)ビッグバンドのピアニストとして25枚
のアルバムを残し、少なからず著名なアーティストとの共演を重ねて来
たフランク・カステニアー、満を持しての初リーダー・アルバムである。
その共演者及びプロデューサーの役を買って出たのがティル・ブレナー。
兄弟とも言うべき親しい間柄を自負する2人の共同作業はアットホーム。
フランク・カステイアー自身の曲はタイトル曲の「フォー・ユー」のみで、
スタンダード曲を並べてはいる。しかし、フランク・カステイアーの斬新
な解釈は、ともすれば難解過ぎそうな気もした。ところがこれがまるで、
コンテンポラリーミュージックを聴くかのようにすんなりと耳に馴染む。
ピアノのソロ曲、ピアノトリオの演奏、ティル・ブレナーのトランペット
との共演、ストリングスとの共演。聴き応え十分の出来栄えである。
特にストリングスの使い方は素晴らしい。弱音器ピアノの音を
飲み込むようなことは決して無い。バックで微かに聴こえるのみのストリングス。
その控えめさが妙に知的に感じられる。
内に秘めた熱き思いをストレートに出す演奏も素晴らしい。
しかし、理性を介して投影されたものを楽しむのも素晴らしい。
いや伝達という意味では、その方がよりリーズナブルなのかもしらない。
本作をしてフランク・カステイアーの想いは昇華し、
トップアーティストとしての確固たるポジションを築いた。
「ここ10年間で最も重要なドイツ・ジャズ作品」
ドイツ・ジャズゼティック誌はこの作品をしてこう評している。
|
1.The way you look tonight (今宵の君は) 2.Mensch (メンシュ) 3.I'll never smile again (アイル・ネヴァー・スマイル・アゲイン) 4.Bei dir war es immer so shon (バイ・ディア・ヴァー・エス・インマー・ ゾー・シェーン) 5.Someday my prince will come (いつか王子様が) |
6.Berlin,Dein Gesicht Hat Sommersprossen (ベルリン・ダイン・ゲズィヒト・ハット・ ゾンマーシュヒブロッセン) 7.For You (フォー・ユー) 8.Alone again (アローン・アゲイン) 9.Body and soul (ボディ・アンド・ソウル) |
John Goldsby : bass Hans Dekker : drums
Till Bronner : trumpet ,flugrlhorn Tim Lefebvre : bass
Deutsches Filmorchester Babelsberg : string section
Duke Jordan / Flight to Denmark
チャーリー・パーカーのグループでレギュラーピアニストをしていた
デューク・ジョーダンだったが、時代の流れに翻弄され、身を落とし、
タクシードライバーや配送係の仕事で細々と生計を立てる日々を送っ
ていた。その期間は実に10年にも及び、時代に取り残された1人の
ピアニストの末路としてはあまりにもはかなくむごいものであった。
やがて人知れずアメリカを離れヨーロッパへと旅立つことを思い立つ。
当時のデューク・ジョーダンにとって、渡欧はアメリカとの決別を意味
していたのかも知らない。そして1973年、異国の地で11年ぶりの
新作を発表する。それが本作「フライト・トゥー・デンマーク」である。
一面真っ白なコペンハーゲンの雪原。アメリカでの葛藤を洗い流すか
のような美しいジャケットは新天地でのデューク・ジョーダンの思いが
込められている。文字通りしがらみから開放された別天地だったのだ。
テクニックが素晴らしいわけではない。解釈が斬新なわけでもない。
ただ、時代に取り残された男は普遍的なスタイルを完成させていた。
それは、執拗なまでにメランコリックな演奏を試みるということだ。
デューク・ジョーダンの刹那的な表現の形式はあまりにも美しく儚い。
淡々と演奏される一音一音に浮き沈みの激しかった人生の断片が見て
とれる。しかし、雪を頂いた大地が純白の輝きを見せるように彼の心
の傷も欧州の地で幾分癒されたのかも知らない。無骨な中に美しい
フレーズが幾つも散りばめられている。
デューク・ジョーダンの作品も含めスタンダードナンバーが揃っており
ジャズ初心者の方でも楽しめる作品となっている。
| 1.No Problem 2.Here's That Rainy Day 3.Everything Happens to Me 4.Glad I Met Pat [Take 3] 5.Glad I Met Pat [Take 4] 6.How Deep Is the Ocean? |
7.On Green Dolphin Street 8.If I Did-Would You? [Take 1] 9.If I Did-Would You? [Take 2] 10.Flight to Denmark 11.No Problem [Take 2] 12.Jordu [Take 1] |
Mads Vinding : bass Ed Thigpen : drums
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リンク1:フライト・トゥ・デンマーク
リンク3:フライト・トゥ・デンマーク
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Jan Lundgren Trio / A touch of you
昨今ユーロジャズが台頭している。アメリカのシーンを飲み込む
と言ったら言い過ぎだが、ヨーロッパ産ジャズへの関心がとても
高いのは紛れもない事実である。ECMやドレフェスといった
ヨーロッパのレーベルはそれぞれのテイストを全面に押し出して、
リスナーの評価を得ている。いろいろ手を出しレーベルの個性が
見えにくくなっているアメリカのレーベルとは対照的といえる。
そんなヨーロッパでも北欧は一風変わったジャズを聴かせるのが
特徴でECMのクリスタルサウンド等は代表的な例かも知らない。
今回紹介するのは、北欧はスウェーデン出身のジャズピアニスト、
ヤン・ラングレンである。彼もやはり非常に個性的な存在である。
それは選曲を見ただけでも感じられるかも知らない。この御時世、
バップをやるというだけでもなかなか関心させられるではないか。
既に多くのビッグネームによってやり尽くされた感があるバップ。
多くのアーティストが新たなジャンルに解釈の幅を求めたのに対し
ヤン・ラングレンは敢えてこのバップの世界に解釈を求めたのだ。
こう書くと頑固一徹な印象になりそうだが、それではこんな事は
出来ない。むしろ柔軟でスマートな発想こそが求められるわけで、
ヤン・ラングレンは非常にスマートなアレンジと演奏を披露する。
スタンダードな曲をストレートアヘッドなジャズの演奏で。でも、
それでいてどこか新しさを感じさせる様は彼の柔軟な解釈ゆえだ。
また、ニューヨークで現地のリズム隊をメンバーに入れた編成も
非常に良い。どこかヨーロッパとアメリカの競演といった様子で
熱い演奏が展開している。特に、リニー・ロスネス(p)の夫である
ビリー・ドラモンド(ds)の絡みつくようなドラミングは、ネットリ
していてエロティックですらある。ハード・バップの世界に新たな
解釈を与えてくれたヤン・ラングレンに今こそ敬意を示したい。
| 1.Blues for raz (ブルース・フォー・ラズ) 2.Love you madly (ラブ・ユー・マッドリー) 3.Willow weep for me (ウィロー・ウィープ・フォー・ミー) 4.Cleopatora's dream (クレオパトラの夢) 5.A touch of you (タッチ・オブ・ユー) 6.Midnight Waltz (ミッドナイト・ワルツ) |
7.The time is now (タイム・イズ・ナウ) 8.While my lady sleeps (ホワイル・マイ・レディー・スリープス) 9.Tranquille (トランクイル) 10.Fingers (フィンガーズ) 11.Lotus blossom (ロータス・ブロッサム) |
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