モーツァルト「レクイエム」ニ短調 K.626。カラヤン指揮による
ウィーン・フィルハーモニーの演奏。(1986年の録音。)
モーツァルトのレクイエムはいろいろと「いわく」のついた作品で、そのバックグラウンドを覗いてみるのは非常におもしろい。
「魔笛」等の作品の製作に心身ともに疲労困憊していたモーツァルト
は、突如灰色の服を着た見知らぬやせ細った背の高い男の訪問を受け、
レクイエム製作を依頼する手紙を渡される。男は、製作依頼の手紙と
多額の前金を持ったのみで、注文主の名前も明かさなかったという。
<モーツァルトは実際この年に亡くなっているのだが、この事をして、
「死の使い」と考えてしまったことは容易に考えられることである。
1791年、モーツァルト35才の時のことである。
しかし、「W.A.モーツァルトのレクイエムの真相と詳細」によると、
実際は「死の使い」なはずはなく、ヴァルゼック伯爵という人物が
亡き妻に捧げるレクイエムのゴーストライターとしてモーツァルトを
選んだ。ということがヘルツォークによって明らかにされている。
「死の使い」の恐怖に怯えてか、過労によるものか、「レクイエム」
作曲は中途にして、モーツァルトの死がもたらされた。彼自身の手で
完成された部分は「入祭唱」と「キリエ」のみであり、その多くは、
弟子達の手によって補完される形となった。
その後の研究によって様々な復元版が製作されているが、最初に補筆
を完成させたのが弟子のジュースマイヤーであった。モーツァルトの
未亡人から補筆の依頼を受け1792年に完成し、翌年モーツァルト
の遺族のためのチャリティーコンサートにおいて、初演されている。
現代でもこのジュースマイヤー版が規範版として標準的に使われる。
晩年の作品で、余命旦夕に迫っていたのを感じていたのか、内省的で
非常に深遠な世界を構築している作品である。また、当時教会音楽へ
の傾倒(シュテファン大聖堂の楽長代理職に就く等)があったようだが
バッハやヘンデルに通じるアプローチも感じられる。しかし、やはり
時代を見据えた斬新な創意に満ちた音作りはモーツァルトならではで
円熟味を増した晩年の作品には更に芯を感じさせるものがある。
この音源では、カラヤン-ウィーンフィルの組み合わせでの演奏だが、
カール・ベーム-ウィーンフィルの組み合わせの演奏も名演として有名。
同じカラヤン指揮、トモワがソプラノのもので、ベルリンフィル演奏
の音源もあるが、ザルツブルグ出身同士のモーツァルトとカラヤン。
そして、オーストリアの交響楽団ウィーンフィルでの録音を推したい。
|
1.T.INTROITUS Requiem |
8.V.SEQUENZ Lacrimosa (涙の日) 9.W.OFFERTORIUM Domine Jese (W.奉献唱 主イエス・キリスト) 10.W.OFFERTORIUM Hostias (W.奉献唱 犠牲と祈りを) 11.X.SANCTUS (X.聖なるかな) 12.Y.BENEDICTUS (Y.祝せられさせたまえ) 13.Z.AGNUS DEI (Z.神の子羊) 14.[.COMMUNIO Lux aeterna ([.コムニオ 絶えざる光もて) |
Vinson Cole : tenor Paata Burchuladze : bass
Wiener Philharmoniker
Herbert von Karajan : Dirigent

banner_03.gif)