サローキ・アーギ、ハングベトより2008年リリースの作品。
ビーンズ・レコードリリースの日本盤邦題は「想い焦がれて~カラーディ歌集」。
本作もハンガリーの民謡や古典を現代風に編曲して歌うスタイル。
テーマは、1930-40年代に女優及び歌手として活躍した
同郷のカタリン・カラーディ。ジャズコンボをバックにしっとりと、
それでいて時に明るいいつものサローキ・アーギが顔を出す。
カタリン・カラーディ(Karády Katalin 1910-1990)は激動の人生を送っている。
靴職人の娘から離婚を経て、有声映画初期の女優、歌手となるも、
まもなく始まった第二次世界大戦中、ゲシュタポに数か月拘留され
拷問を受ける。釈放後は終戦までユダヤ人の子供を救う活動に従事した。
戦後、共産主義国となったハンガリーに女優としての活路を見いだせず、
ブラジル、そしてアメリカへと移り住み、ニューヨークで亡くなった。
晩年は帽子店を営み、故国からの招待にも帽子を送るのみだったという。
そんなカタリン・カラーディだが、
サローキ・アーギが取り上げたのは必ずしも数奇な一面だけではない。
憂を持った豊かな表現者として、一人の普通の女性として、
もちろん、悲劇や、それを乗り越えた時代の体現者として。
様々な角度で一人の人生を解釈し表現している様が窺える。
ジャズの盛んなハンガリー。演奏者のジャズメンも充実している。
4ビートも、ワルツも、ブルージーな曲も、ボサノバ調の曲も、
ロバート・ラカトシュ(ピアノ)を筆頭にジャズの味付けがされている。
楽曲のエスニックさと耳に馴染みやすいジャズアレンジが心地良い一枚。
01 | Miért szeretlek; どうしてこんなに好きなの | De Fries Károly; Kovách Kálmán |
02 | Mindig Az A Perc; いつだってそんな瞬間が | Fényes Szabolcs; Mihály István |
03 | Száz Panasz ég A Dalomban; 私の歌に百の嘆きが燃える | Hegedűs Tamás; G. Dénes György |
04 | Szomjas a szám; 口の渇き | Buday Dénes; Babay József |
05 | Ma éjjel; 今夜は | Kemény Egon; Halász Rudolf |
06 | Hamvadó cigarettavég; たばこの吸いさし | Hegedűs Tamás; G. Dénes György |
07 | Holnap, ki tudja, holnap (szóló); 明日は誰にもわからない(ソロ) | Mihály István; Fényes Szabolcs |
08 | Holnap, ki tudja, holnap; 明日は誰にもわからない | Fényes Szabolcs; Mihály István |
09 | A szívemben titokban; 心の秘密 | Polgár Tibor; Polgár Tibor |
10 | Lement a nap; 日が沈んで | Romberg Sigmund; Kovách Aladár |
11 | A két szemed; あなたの二つの目 | Polgár Tibor; Nadányi Zoltán |
12 | Ne kérdezd, ki voltam; 過ぎたことは聞かないで | Papir Viktor Miklós; Szepes Mária |
13 | Nincs kegyelem; 慈悲は来ない | Sándor Jenő; Huzly Imre |
14 | Egyszer csak mindennek vége lesz majd; いつかは終わりが | Hegedűs Tamás; Farkas Imre |
Szalóki Ági; Bascó Kristóf; Schrek Ferenc; Juhász Gábor; Lamm Dávid; Kovács Zoltán; Mohay András; Szakcsi Lakatos Róbert; Szaniszló Richárd; Tcha Limberger
- 2008
- Hangveto; Beans Records
- FFECD41; BNSCD-8861