浅川マキが1973年にリリースした5作目のアルバム「裏窓」。オリジナルアルバムを浅川マキ自身がピックアップしたボックス、「10枚組・自選作品集 浅川マキの世界」にも本作は収められている。オリジナル曲、カヴァー曲ともにブルースを好んで用いており、初期の浅川マキを代表する作品といえるのではないだろうか。
本作は、スタジオ録音とライブ録音が混在した作品で、「裏窓(1973.4.13 明大前キッド・アイラック・ホール)」、「セント・ジェームス病院(1973.6.15 神田共立講堂)」、「ロンサム・ロード(1973.6.15 神田共立講堂)」がライブ録音となっている。メンバーは、浅川マキ(Vo)と荻原信義(G)、富倉安生(B)、小松崎政雄(Ds)を軸に、白井幹夫(P)、渋谷森久(Organ)、斉藤伸雄(Perc)、南里文雄(Tp)、市原宏祐(Cl)が入れ替わり演奏に参加する。
浅川マキはレリーフ上で「トラブル・イン・マインド」を推している。この曲はRichard M. Jonesが1924年にリリースしたブルースで、Barbara Dane, Nina Simone, Ella Fitzgerald他、多くの歌手に歌われているブルース・スタンダード・ナンバー。浅川マキは、この歌詞に明確に自殺を印象付ける訳をつけて歌っている。その他にも、劇作家・寺山修司が作詞したタイトル曲「裏窓」、Joe Primroseの「セント・ジェームス病院」、浅川マキ作詞作曲の「町の酒場で」等、トラックを進めるにつれ浅川マキの世界観に引き込まれていく。
01 | こんな風に過ぎて行くのなら | 浅川マキ; 浅川マキ |
02 | 裏窓 | 寺山修司; 浅川マキ |
03 | あの男が死んだら; When That Man Is Dead And Gone | Irving Berlin; 浅川マキ |
04 | セント・ジェームス病院; St.James Infirmary | Joe Primrose; 浅川マキ |
05 | ロンサム・ロード; Lonesome Road | Gene Austin; Nathanel Shilkret; 浅川マキ |
06 | 引越し | 浅川マキ; 浅川マキ |
07 | トラブル・イン・マインド; Trouble In Mind | Richard M. Jones; 浅川マキ |
08 | 翔ばないカラス | 真崎守; 浅川マキ |
09 | 町の酒場で | 浅川マキ; 浅川マキ |
10 | ケンタウロスの子守唄 | 筒井康隆; 山下洋輔 |
浅川マキ(Vo,Perc),荻原信義(G):01-10;
富倉安生(B):01-09;
小松崎政雄(Ds):01-02,04-09;
白井幹夫(P):01,07-09;
渋谷森久(Organ):04-06;
斉藤伸雄(Perc):01;
南里文雄(Tp):04-05;
市原宏祐(Cl):02
- 1973
- EMIミュージック・ジャパン
- ETP-9087; TOCT-11252