「トランスパレンテ」は、マリーザが2005年にEMIよりリリースしたサードアルバムで、ブラジルにて録音された。アルバムタイトルでもありヒット曲の「トランスパレンテ」は、モザンビークで生まれた彼女の、アフリカ人の祖父に捧げた曲。強烈なこぶし回しをするアマリア・ロドリゲスに比べて、メリスマティックでありながらもクリアな高音でサラっと歌うマリーザのスタイルは健在。プロデューサー及び編曲家として、ブラジル人のジャキス・モレレンバウムを招いており、クサいアレンジだと思っていても泣かされてしまう。
本作「トランスパレンテ」の編成は、カントーラ(歌)、ギターハ(ポルトガルギター)、ヴィオロン(ギター)のみからなる古典的なファドの編成に加え、ジャズ風のピチカートを用いたコントラバイショ(ウッドベース)が入るカルテットがメイン。更に曲によっては管楽器やBGM的な扱いで弦楽オーケストラを用いたりしている。ジャキス・モレレンバウムはチェロでも参加していて、他にも、ジョアン・リラがヴィオロンを弾いていたりと豪華なメンバー。オーケストラは、リオ・デ・ジャネイロ・セッション・オーケストラ。
聴き処は、マリーザの歌唱とジャキス・モレレンバウムの編曲の相性になると思う。本作におけるジャキス・モレレンバウムの編曲はそつが無く無駄が無い。これはともすれば遊びが無いわけで、これでもかとベタベタな泣きの編曲を見せられると、これだけでは辟易してしまう。しかし、マリーザのキレのある歌唱や、ギターハやヴィオロンの音はキビキビとしていて、妙にはまる。ジャキス・モレレンバウムも恐らくこの事を考えて編曲していると思う。古典的なファドの編成と、コントラバイショを含むオーケストラとが対峙する構造の中でこの作品の価値が生まれているのだと思う。
01 | Há Uma Música Do Povo | Fernando Pessoa; Mário Pacheco |
02 | Meu Fado Meu | Paulo De Carvalho |
03 | Recusa | Mário Rainho; José Magala |
04 | Quando Me Sinto Só | Artur Ribeiro; Joaquim Campos |
05 | Montras | Pedro Campos |
06 | Há Palavras Que Nos Beijam | Alexandre O’Neill; Mário Pacheco |
07 | Transparente | Paulo Abreu Lima; Rui Veloso |
08 | Fado Português De Nôs | Paulo De Carvalho |
09 | Malmequer | Aldina Duarte; Popular ‘Fado Menor’ |
10 | Medo | Reinaldo Ferreira; Alain Oulman |
11 | Toada Do Desengano | Vasco Graça Moura; Franklin Godinho |
12 | Fado Tordo | Fernando Tordo |
13 | Duas Lágrimas De Orvalho | DR; Pedro Rodrigues |
14 | Desejos Vãos | Florbela Espanca; Tiago Machado |
- Mariza : Voz
- Mário Pacheco : Guitarra Portuguesa
- João Lyra; António Neto; Lula Galvão : Viola (Guitarra Clássica)
- Jorge Helder : Contrabaixo
- Jaques Morelenbaum : Cello
- Marcelo Costa : Percussão
- Agostinho Silva : Acordeão
- Alceu Maia : Cavaquinho
- Carlos Malta : Flautas
- Paulo Sérgio Santos : Clarinete
- Ismael Oliveira : Trompa (French Horn)
- Rio de Janeiro Session Orchestra : Cordas Strings
- 2005
- Capitol Records; EMI
- 7243 4 77646 2 2